▲紅葉、美しいですね。私の近所では小高い丘の上の木々が紅葉しています。しかし散歩道は散ってしまいつつあります。また来年に向けて新しい命をつないでいくのでしょう。初冬ですが「冬来たりなば春遠からじ」の言葉が浮かびます。
【12月の雑感】
年の瀬に思うこと四題
■①今日は12月14日(月)です。12月14日と言えば忠臣蔵でお馴染みの赤穂浪士による吉良邸討ち入りの日として有名です。ですが厳密にいえば討ち入りは真夜中の午前3時半ごろらしいので、12月15日早朝が正しいのでしょうね。
●私も過去に何冊もの小説を読みましたし、テレビドラマも観ました。一番関心があったのは、浅野内匠頭の刃傷・切腹から討ち入りまでの1年10か月もの間の「費用=金」はどうして調達したのだろうかということです。経済面からメスを入れた物語を読みたいものです。
●それと12月14日に大雪で積雪していたというのは現在の気候から推測するとおかしいという疑問です。これはどうやら太陽暦と旧暦の違いであって現在に置き換えると1月の後半というのが正しいようです。これだと大寒のころなので頷けます。
●それにしても厳冬の中、一番眠りが深い時間帯に武装した集団に押し込まれると吉良側は大変だったでしょう。死者・負傷者が多く、赤穂側は2人負傷者のみというのもわかります。テロは攻める側に有利で、守る側はどうしょうもないというのは現在に通じることです。
●ことの是非は別として、ことを為すには『準備力』がいかに重要かということが学べます。それと「経済的な裏付け」がないとことは為せなかったでしょう。いずれ文献を探して読んでみたいものです。
●そういうことを思っていたなら翌日の12月15日、NHK Eテレの「知恵泉」という番組でこの費用について触れていました。驚きです。思えば叶うものですね。この番組については主なテーマが「部下の気持ちに寄り添う」ということでしたので、年内に別途稿をあらためて詳しく紹介したいと思います。
●軍資金の額だけ紹介しておきますと、総額8,292万円だそうです。最終的には84万円の赤字だったそうで、それは大石内蔵助が自費で調達したようです。この軍資金は浅野内匠頭の奥方が輿入れした時の持参金だそうです。
●大半が1年10か月に及ぶ準備期間に費やされたようで、討ち入りの武器費用は130万円でした。このあたりも興味深いので別の機会にもう少し詳しく紹介しましょう。
■②フィギュアスケート、グランプリファイナルの羽生結弦選手の快挙が話題になっています。素晴らしい成績ですね。彼は日本の誇り、スポーツを通じて多くの人に感動と勇気を与えたのではと思います。
●印象に残った言葉が「どのような環境、状況でも自分の演技ができるようにする力を身に着ける、そのために血のにじむような努力を積み重ねてきた。」というものです。ここでも『準備力』の重要性を再認識しました。
●他のスポーツの女子プロが今年の不成績を総括し、来年からは「なんでも楽しくやれるようにしたい」というようなことをおっしゃっていました。その結果、成績が良くなれば良いのですが、私の経験では「勝負を楽しみたい、楽しくやりたい」言って成功した人はいなかったように思います。そのスポーツに対して自己の力の限界を超えるような「血をにじむような努力」をしないと道は開けないだろうと老婆心ながら感じました。
■➂今朝(14日)のテレビで阪神タイガースの金本監督と矢野コーチがインタビューを受けていました。アナウンサーが監督に「今の気持ちは楽しみですが怖いですか」というようなことを聞いていました。
●金本監督はキャンプまでは楽しみです、シーズンに入れば怖いですと答えていました。その理由を「キャンプまでは選手がどれだけ底上げしてくれるか、新しい戦力が出てくるかが楽しみです。ですが、私は野球の勝負というのは甘いものでないということを知っています。基本的にネガティブに考えるので心配です、怖いです」と率直にと答えていました。
●そして同い年で同じ大学の出身で、現役時代にチームメートであった矢野コーチには「作戦参謀として自分の傍でアドバイスをしながら一緒に戦ってほしい」と言っていました。
矢野コーチの方が少し不安げに見えましたが頑張ると約束していました。アナウンサーは「これで来シーズンの阪神は優勝や」と叫んでいましたが、マスコミは贔屓の引き倒しにならないよう気を付けてほしいものです。
●私は金本監督の現時点での言動は合格、巨人の脅威になると思いました。高橋監督、村田ヘッドコーチよりは「準備段階で差がある」と思わざるを得ません。
■④先週末に兵庫芸術文化センターで行われた、佐渡裕さん指揮のベートーヴェン「第9交響曲」の演奏会に行ってきました。久しぶりのライブで第9を聴きました。素晴らしい音楽を素晴らしい演奏で聴かせてもらい大満足でした。
●佐渡さんの第9演奏会では新しい工夫もされていました。それは第4楽章の合唱の詩が翻訳されて字幕で表示されたことです。他でも行われているのかもしれませんが、私の経験では映像も含めて初めてでした。
●かつての大指揮者故・レナード・バーンスタインの弟子にあたる佐渡さんの演奏は師匠をほうふつさせる内容と指揮ぶりでした。ベートーヴェンが作曲した時代の演奏はここまで情感たっぷり、ダイナミックな音楽ではなかったという言う人もいます。
●ともあれ佐渡さんが音楽監督を務める兵庫芸術文化センターは、以前にも書きましたが企画力抜群、興行成績も優れており資金も潤沢のようです。そこにはマーケティングと企画力抜群の劇場運営があるようです。今回の第9の演奏会も他とは違うちょっとした工夫がなされていました。
●第9は演奏時間が約70分ですから、他のプログラムでは○○序曲などと2曲の組み合わせが多いのです。ですが佐渡さんは第9のみに絞って集客しました。普通は2時間でワンパッケージですから1つに絞ると短く感じます。
●アンコールを入れても第9の熱演の後では普通の小曲ではしまりがなくなります。どうするのかと思っていたら、バリトンのキュウ・ウォン・ハンさんにオーケストラの演奏で「ホワイトクリスマス」を歌わせるじゃないですか、第9の合唱を歌い切った後のハンさんは声の調子も良く実に魅力的な声で歌いました。
●歌い始めると私も含め会場から自然と拍手が起こりました。見事な演出です。これでおしまいかと思っていたら、佐渡さんはもう一曲といって「スミレの咲くころ」を演奏し、合唱団全員で歌い始めます。そして会場の聴衆にも一緒に歌おうとゼスチャーで示します。
●歌詞が中高年カップルにもふさわしい内容なので字幕を見ながらみんなで歌い出します。こうして最後は聴取も参画してエンディングです。ほんのひと時でも人それぞれの人たちが、一つのモノに向かって結集するという、第9のテーマを実践する演出は見事です。
●佐渡さん指揮の第9は兵庫芸術文化センターでの3日間の定期演奏会+1日特別演奏会で幕開けをして、このあと近畿+岡山、徳島で年内8公演が開催されます。この集中力と精力的な活動は油の乗り切った佐渡さんならではです。同時代に体験できて幸せでした。
■今回は「雑感」と題して最近の4つの思うことを書いてみました。私のリハビリにお付き合いいただいた読者の方には感謝いたします。書いていると次のネタが浮かんできます。行動すれば脳が活性化するのは間違いありません。(笑)近々にアップします。
明日から寒波襲来で寒くなりそうです。お互い風邪などひかぬように注意しましょう。ではまた。<12月16日了>
- 登録日時
- 2015/12/16(水) 17:43