▲神戸市須磨区にある網敷天満宮へ梅の花を観に行ってきました。菅原道真公が左遷されて太宰府天満宮に向かう途中に立ち寄ったとされている神社です。
梅の花は6、7分咲き(2月末現在)でしたが、平日にもかかわらず多くの観梅客が訪れていました。合格祈願の絵馬が鈴なりのように吊るされていました。残すは公立高校の入試のみですね。頑張れ受験生!
【2016年3月の雑感①】
漱石の小説「門」のセリフから思うこと
■朝日新聞 2016年3月3日付け朝刊より
夏目漱石の新聞連載小説「門」の最終回を読み終えて。
●漱石の小説「門」の掲載が最終回を迎えました。朝日新聞の朝刊で夏目漱石の小説が掲載されるようになって4作目です。「こころ」「三四郎」「それから」についで「門」が104回に亘って連載されていました。
●その最終回を読んでちょっと思い出したことがあったので取り上げました。
まず私が気になった箇所を転載しますのでお読みください。最後の最後です。
■‐略‐御米は障子の硝子に映る麗かな日影をすかして見て、「本当にありがたいわね。漸くの事春になって」といって、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を切りながら、「うん、しかしまたじきに冬になるよ」と答えて、下をむいたまま鋏を動かしていた。
●漱石さんは上手い表現をしますね。2人の状況が絵のように浮かび上がります。あるあるこんなシーンはと思いました。そして、特に御米の『晴れ晴れしい眉を張った』などという表現は好きですね。女優さんなら仲間由紀恵さんが浮かびました。他に誰が適しているでしょうね。綾瀬はるか…。
●それにしてもこの小説の主人公である宗助さんは陰気臭いですね。マイナス思考が勝った人だと思います。別にマイナス思考が悪いわけではないのですが、この会話ではせっかく御米との未来に光が射しにくいと思うわけです。
●昔、天風会の修練会で三代目会長の故杉山彦一先生の名調子講演のなかで、先生がある夫婦の会話の事例を取り上げられました。‐満月の夜、奥さんが月を見ながら「きれいな満月ですね」と話しかけたら、マイナス思考の亭主は「そのうち欠ける」と答えたといってマイナス思考の弊害をご教示くださいました。
●「きれいな満月ですね」というのは「あなたと会話をしたい」という言う意思表示であり、ひいては「あなたのことが好きです」という思いから出ているのに、野暮なマイナス思考亭主は「会話を打ち切るようなことしか言えない」と戒められたのが忘れられませんでした。
●会話というのはお互いに発展させるように受け答えをしなければ感情が交流しませんね。プラス思考なら「そうだね綺麗だな、ウサギはいるかい」「こんどどこか湖に映るところでも見たいね」「田舎に行けば星もきれいにみえるだろうな」などとその後の会話が発展するようにすれば良いと思うんですがね。
●小説「門」の主人公宗助さんのように御米さんがせっかく「長い冬が終わり(2人のこの間のいろんな出来事が解決して)あったかい、明るい春を迎えられる」と言っているのに、「またじきに冬になるよ」はないでしょうと言いたいですな。
●しかも自分の爪を切ることに集中していて、せっかくの御米の「晴れ晴れしい眉をした顔を見ない」ところなんかは、自己中心的な面が強い宗助の一面を表現しているようです。
●ですがこの夫婦、友人(安井氏)から奪った妻であることに負い目を持ちながらも仲睦まじく暮らしているわけで、相性が良いんでしょう。私が指摘するような会話も当人たちにとっては違和感が無ければ他人がとやかく言うものではないのでしょうが。
●ですが長い間夫婦を続けているともうちょっと『お互いに』会話や態度に気を配った方がいつまでも仲良くおられると思うんですがね。自省を込めて。(笑)
■漱石の小説はわざわざ読みたいと思いません。たまたま新聞に連載小説として掲載されているから読んでいるだけです。中学生のころから名作小説よりも松本清張を愛読していました。
●そこで描かれる実社会のできごとを題材に描かれる清張ワールドに夢中でした。歳を重ねて人生の終わりごろに漱石さんの小説に触れているわけですが、若いころに読むべきだったなどと毛頭思いません。
●今のところ、なんと辛気臭い話ばかりだろうというのが感想です。(笑)私は小説読みの査定があるなら「才能あり」でも「才能なし」でもなく「凡人」レベルなんでしょうな。もうちょっと漱石さんに付き合ってみようとは思っています。4月からの新聞連載は「吾輩は猫である」だそうです。
■女子サッカーのなでしこジャパンが中国にも負けて、リオ五輪出場はほぼ絶望になりましたね。これからマスコミによる敗因分析がなされると思いますが興味深いですね。私はこういう日が来る予感がしていました。
●ボクシングの世界バンタム級チャンピオン山中慎介がからくも10度目の防衛を果たしましたが、試合前の挑戦者の雰囲気などから危険な予感がしました。案の定2度もダウンを喰らい、大ピンチでした。チャンピオンの心に気負いと隙があったように思います。
●プロ野球の方はオープン戦が始まりましたが、わが巨人軍は6勝1敗と好調な出だしです。しかしオープン戦の勝敗ほどあてにならないものはありません。
首脳陣を一新したことに期待はできますが・・・。マイコラス投手の出遅れが気がかりです。
●大関、琴奨菊関の横綱昇進はないでしょう。春場所はコロコロ負ける気がします。相撲以外のことに時間を取られ過ぎです。
●スポーツ観戦は趣味ですが、この分野では宗助さんではないですが私はマイナス思考になります。人間がいつかこの世を去るのと同じく、スポーツの世界では永遠の勝利者はありえないからです。
●また前回に比べて戦力の『改善・強化・付加』のないところに勝利は無いからです。それでも愉しみな春はもう少しですね。<完>
- 登録日時
- 2016/03/05(土) 09:35