▲紅葉。松本人志さんが「紅葉って汚くありませんか」というコメントをしているのをネットで読みました。みんなが紅葉は美しいものだと思っている「大前提を覆す投げかけ」ですね。「そんなことはない」と反論するだけでなく、当たり前だと思われている大前提に疑問を呈することの価値を評価しましょう。そして実際に自分の目で見て、本当に美しいものばかりかと観察するのも一興です。
【2016年11月の雑感②】
電通の<鬼十則>を考える
■電通の女子社員の過労からの自殺を受けて企業体質が問われています。実態はマスコミ情報からしかわかりませんが、違法な労働環境であったことは間違いないようです。
●電通の対応策のひとつとして同社の企業文化を形成していると思われる有名な「鬼十則」を社員手帳から削除するという記事を読みました。高度成長期をサラリーマンとして過ごした私は秘かに「鬼十則」のファンでもありました。
●電通の対応はやむを得ないと思いますが、これを修正するという考えは浮かばなかったのかという疑問が湧きました。確かに5項目目は行き過ぎた表現ですが、それ以外は悪くはないと思うのですが…。
●各社、このような社訓的なものはあるのが普通です。その内容は個性的です。私はそれらを目にするときその内容が内向きか外向きか、企業の目的・目標を示しているのか、組織行動の指針なのか、個人に対する働き方の要求か、動機付けかなどの視点で見るようにしています。
●さて電通の「鬼十則」はどのようなものか、ちょっとご覧ください。私の感想を少し加えていきます。
■電通の「鬼十則」(吉田秀雄記念事業財団のHPより)
1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
◎賛成です。変える必要はないと思います。ですが法人によっては「与えられた仕事を確実にこなすべし」ということもあるでしょう。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
◎これも賛成です。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
◎これは異存があります。小さな仕事もコツコツと。目的を持つことが大事で、その目的達成のためなら小さな仕事もおろそかにするなというのが私の考えです。
4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
◎賛成です。でも実際は大変厳しいことだと思いますよ。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
◎「殺されても放すな」は削除です。「必死のパッチで取り組め」が良いと思います。(笑)大事なのは「目的完遂までは」という文言でしょう。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
◎これは泥臭い表現ですね。私なら「リードせよ、巻き込め、そして参画させよ」に修正します。「永い間に」は残します。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
◎「目的と計画」に修正します。計画とは目的・目標と手段(5W2H)を含むのですが、より大事なのは「目的・目標」ですから。具体的に表現すべきです。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
◎これは抽象的すぎます。自信を持て、成功すれば自信が持てる。自信の積み重ねが君を大きくする。そこから仕事に対する迫力も粘りも生まれる。成功は失敗をも糧にすることだ。
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
◎賛成です。
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練に
なる。
◎「未練卑屈」というのは吉田氏の造語でしょうか?ネット検索すると「出来事をさっぱり割り切れない」というのがありました。うーんちょっと論理が飛躍していませんかね。「摩擦の中から学べ、視野を広げよ」というようにしますね。
■改めてじっくり読みましたが、ほぼ賛成です。ですが部分的には修正した方が良いと思われる箇所がありました。私見は書いておきました。読者の皆さんもこれをネタに自分の思考を試されてはいかがでしょう。「私ならこう考える」と。
●全体の意図は個人に焦点をあてた『電通マンの仕事の行動指針』になる内容ですね。内部指向で企業の社会性や目的、戦略については触れられていません。組織文化についてやチームワーク、リーダーシップの指針でもありません。
●こういうものも時代の変化に対応して修正されてしかるべきだというのが私の考えです。これがいつごろ制定されたのかはしりませんが、電通という会社が昔のモノを金科玉条のごとく社員手帳に書いたままにしていたのはいかがなものでしょうか?柔軟性に欠ける社風じゃないでしょうか。
●また今回このような事態に遭遇して、削除してしまうのは短絡的ではないでしょうか。反省して新たな企業文化を創造するような指針に改定することこそ進歩的な企業だと思います。<完>
■話は飛躍しますが、日本国憲法だってもっと柔軟に改正していけば良いと思っています。何度でも変えてよいのですから時代の変化と未来予測に基づき国民を巻き込んで憲法改正をしてもらいたいものです。
- 登録日時
- 2016/11/25(金) 09:31