【09年5月の提案】 新任店長講座:その2
『新しい環境に上手に適応していく考え方・行動』とは?
■桜の花が新緑の木になり日に日に緑が濃くなっています。4月に店長になられた新任店長さんも2ヶ月が経って新しい仕事に馴染んでこられたのではないでしょうか?いかかでしょう?私の経験を振り返ると、新しい環境に適応することが苦手だった自分が思い起こされます。
■私は子供のころから引っ込み思案でした。特に対人関係は選択的で、少数の人としか付き合わなかったようです。先般、小学校3年生から6年生の同窓会に49年ぶりに行ってきました。
■50歳を越えてから小学校1年生から3年生や中学校の同窓会には出かけるようにしてきましたので、そこで親しくなった方とは顔見知りです。ところが49年ぶりにお会いする同級生、23名参加されていましたが顔は変わっていても「やあ懐かしいね」と話が出来る人の数は、記憶にない人の数を下回っていました。
■それに比べて幹事をしてくれているM君の記憶力の抜群さと、対応力には舌をまきました。あっという間に半世紀をタイムスリップして参加した人すべてを同級生として対応しています。偉いなと感心しました。
■私の態度は、大人になって少しは社交性が増していったようですが、基本的なところで、新しい環境に慣れるのにストレスを感じていました。相手から働きかけられると対応できるのですが、自分から働きかけるのは苦手でした。これではリーダーシップはとりにくいなと思っていました。
■この記事を執筆するのに若き日の自分のデータを探していますと、20代前半の時にリクルート社のMATという管理者適性検査の結果が出てきました。評価をみると、「知的にすぐれた資質を示すがどちらかというと専門職向き」ということで性格的には不適正とありました。
■これを見ながら自分には店長という管理職は向いていなかったのだと確認しながら、環境と時代の要請からやむなく若くして店長という仕事を任されたのだということがわかりました。
■そういえば私にとっては店長という仕事は決して心地よいものでなかったですね。それでもなんとかやってこられたのは生来の責任感と誠実さではなかったかと思っています。それと少しだけ優れている知的資質が、仕事を創意工夫するという態度につながって強みになったのではないかなと勝手な推測をしています。
■性格が内向的で、他人を積極的に支配していくという資質の低さが新しい環境に適応するのが遅い要因とは断定できませんが、なんらかの影響はあると思っています。
■もうひとつ、私が環境に適応しにくい要因に慎重な性格と不器用で物覚えが良くないということがあげられます。新しいことは一度で憶えられないのです。それに臆病さが災いして一度目は失敗することが多いのです。
■やってみて失敗するのですが、反省する力と再チャレンジする根性はあるようです。ところがよく失敗をするので新しいことをする環境は苦手だと思ってしまいます。これは今もって自問自答しながら生きています。
■20代後半には子会社の店長から本社勤務になり、3年ほど経ってから教育担当になりました。この仕事はその後10年ぐらい続けるのですが、その時にある研修団体から組織の中で生き抜く知恵として学んだことがあります。
■それは人生における人間の成長の段階を4つに分けて捉えることでした。①赤子から幼児の時代は生き抜く力が大事 ②子供になると学ぶ力が重要な時代 ③青年時代は仕事をやりぬく力を身につける時代 ④中年からは他人に影響を与える力の時代であるというようなことでした。
■さらに、私たちが新しい組織に属した時には、同じようにこのステップを順番に踏む方がうまく適応できるという教えでした。勿論時間は短かくですが。私はえらくこの考え方が気に入って、40代で再び営業現場に出たときに実践して成功した記憶があります。(後日執筆いたします)
■赤子はまわりの助けが無しには生き抜けません。俺が店長だと気張りすぎて何でも自分でやろうとしないで、部下や同僚や上司の助けを借りる、可愛げが必要。そのためには常に不機嫌ではなく機嫌よく笑顔を出す、指摘に対しても素直に受け入れるなどが必要です。(可愛い赤ちゃんの条件ですね)
■次に学生のようにその人たちから学ぶ。学ぶのは教えてもらうだけでなく自分で気づいていく。頼られれば教えても良いのですが一緒に考えることも大事です。特に起こっている事実を共に観察して調べることは対策を考えるより学べます。共に学ぶ体験、共に実態を共有する事が共感につながります。
■そして自分の店の仕事の責任は店長が負うという気概が必要。さらに部下とは違う任務として重要なのは視点が多彩だということです。命令するだけではなく問いかけて話し合う力、仕事の詰めの甘さは指摘する見識が必要です。また部下が困っていることで、自力では解決しにくいクレームなどから逃げないで対応することが必要でしょう。(逃げたら信頼を失います)
■そういう積み重ねで信頼関係が築ければようやく自分の力で回りに影響が与えられるのだと考えるべきだということだったと思います。部下にはいろんなタイプがおり、いきなり追従してくる人もおれば依存する人、距離を置く人、こちらから声をかければ反応する人、俺は俺でやるという人もいます。
■先程の4つの人間の成長段階のとおりにやればいつも、だれにでも上手くいくとは限らないでしょう。それでも新しい環境に適応するのが苦手で、ストレスを感じておられる人は参考にしてみられてはいかがでしょう?
■私はお山の大将になることに価値観がなく、人を支配する親分、子分の関係も好きではなく、自分は自分の生き方を大事にと考え、部下のあなたもあなたを大切に自立すべきと考えてきました。そのためにはなんらかの有効な手段はあるのだと理屈っぽく考えるのが好みだからこそ共感した教えかもしれません。
■この拙文を読まれて共感された方は試してみて下さい。自分に合えば良しとして、合わねば他の手段・方法を探究されればよいことです。目標に向かって手段・方法を自力で試行錯誤し続ける努力を、継続できる力こそが生き抜くために必要なことです。
■今月は新任店長の新しい環境への適応ということについて20代の経験と30代に気づいた環境への適応方法についての考え方を書きました。次回も私の気づきをお伝えする予定です。
- 登録日時
- 2009/05/27(水) 13:36