【今月のトピックス】
視点を変えて考えられた贈り物
■テレビを見ていたらなるほどと感心したトピックスがありました。昔話の一休さんの頓智ばなしにも通ずる「視点を変えることで生まれる知恵」だと感じましたのでご紹介しましょう。
■内容は病気で目が悪くなった奥様が、落ち込んで引きこもり状態になられたことに対してご主人が精魂込めてあるプレゼントをされました。果たしてそれは何でしょう?というクイズ形式ではじまりました。
■わたしは何だろうと考えました。おそらく視覚以外の人間の五感に訴えるものだと判断いたしました。味覚に訴える美味しい食べ物、聴覚に訴える素晴らしい音楽、嗅覚に訴える香りのするもの、触覚で楽しめる動物などに答えはあるのだろうと推測いたしました。
■みなさんなら何を想像されるでしょうか?少し考えてみてください。
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■いかがでしょう?何か思い浮かべられましたでしょうか?
テレビの答えは私の予測をはずす意外なものでした。それは・・・
ご自宅の広大な敷地に何年もかかって「芝桜」を植えられたそうです。
■芝桜なら花の香りではないかと思うのが普通ですが、このご主人のねらいは違っていました。それは、広大な敷地があったから考えられたことかも知れませんが、「芝桜」の庭を造って多くの人に見に来てもらおうというものでした。
■奥様が引きこもって外にでないのなら、多くの人たちに観光を目的に自宅へ来ていただけるようにして、そこで奥様がその方々と触れ合う機会を創ろうというのがねらいだったということでした。
■確かにテレビでは見事な芝桜の庭園ができあがっていました。多くの観光客が訪れておられる様子も映し出されていました。そこで奥様はその観光客の方々と触れ合う機会が増え、対話がはずみ元気になられたという紹介でした。そして奥様は毎年、芝桜が咲く頃を愉しみにされて元気に生活されるようになっているとのことです。
■なるほどと感心しながら、私はご主人の「知恵」と「行動力」と「根気」に敬意を覚えました。ある条件が整っていたからこそのできた事例ですから簡単に真似をすることはできません。ですがこのケースで私が学んだのはご主人の「視点」の素晴らしさです。
■目が見えなくなった奥様が元気になるにはどうすれよいだろうかと考えられたと思います。普通は自分が杖になり生活を助けるということを考えるでしょう。その次は私が考えたようなその他の感覚に訴えるようなものを与えようと考えるのが普通だと思います。
■しかし、これでは奥様にご主人に対する申し訳ないという負担のこころが発生する可能性があります。依存しなければ生きていけない自分が惨めになるのではないでしょうか?それでは人間は元気になれません。たとえ目が見えなくとも「自分の力でいきているという自立の実感」が必要なのではないでしょうか?
■ご主人は奥様が世間の人々と話ができる機会を創ることで奥様の自立への援助をされたのではないでしょうか?さらに推測ですが、多くの観光客と触れ合うことでこの庭園に対する感想を沢山聴かれることもあるのではないでしょうか。
■その情報をご主人に話されるとそこから庭園の今後の改善策が見えてくるのではないでしょうか?そうするとそこには相互依存の関係が生まれ、奥様は自分が役に立っているという実感を持たれるのではないでしょうか?
■多彩な視点を持つことの効果は、本当に重要なこと(目的)は何なのかを考えられることではないかと思います。また目的を考え抜けば、手段は目的にそったものになります。そして手段にも人間のこころに配慮したものを見出すことが可能になるのだと気づきました。
■ちなみにこのトピックスのテレビのオチは芝桜の花言葉は「燃える恋」だとうことがテロップで流れていました。 <完>
- 登録日時
- 2009/09/17(木) 15:43