【2019年02月の雑感①】 病気備忘録と好奇心
▲葉ボタンの花。花言葉は「祝福」「愛を包む」です。寒い冬にも咲いていますが本番は春の花です。一見キャベツのように見えますが、豊かで大きく綺麗な花を咲かせます。良い花言葉ですね。
腫瘍マーカーの数値が上がっていました。
■2月5日(火)は今月最初の抗がん剤投薬日です。2週間に1回ですが月日の流れるのは早いものです。比較的に快適な日々は8日間ぐらいです。月に直すと16日間、後の14日間は何かと不調になります。
●昨夜も投薬日なのでステロイドのせいかなかなか寝付けません。午後9時半に寝床につきましたが眠れず、初めて睡眠導入剤を飲みました。午前0時でした。1時間ほどして眠りについたようで午前3時40分に目が覚めました。その後は朝までうつらうつらです。午前6時半にトイレに行きましたが足元がふらふらで危なかったですね。7時半に起きてようやくましになりました。寝不足のせいか鼻水がずるずるです。強い味方のパブロンを飲みました。(笑)
●昨日は血液検査と尿検査の結果に基づく診察です。私は病院から自宅が近いので前日に両方の検査を済ませることにしました。これで化学療法室の回転が楽になるそうです。おかげで朝の2番目に診察してもらい、午前10時ごろからの投薬開始になりました。3時間半の予定です。
●ここまで打ち間違いが頻発しています。薬のせいでしょうか?在宅で48時間の投薬も続いていますので顔が少し火照ってきています。早めに昨日の経過のみを打ちこんで終えます。
●結論から言いますと腎臓の数値は改善されており、ここ数回のイリノテカンのみからアバスチンという薬を併用することになりました。一作年の7月以来ですから1年半ぶりです。当時は副作用で白血球が極端に減った経験があります。以降イリノテカンの投与を止めてアバスチンを主力にしてきましたことは何度か書いています。
●他にもレボホノリートやフルオロシラフル(自宅で48時間かけて投薬する薬)を投薬しています。今回はフルラインの投薬ですが、イリノテカンはレベル2のままで1~2回様子を見て副作用がきつくなければレベル3にしようということにしました。
●主な副作用は白血球の減少、下痢&嘔吐、脱毛、鼻血、血圧の上昇などと味覚障害が加わります過去の経験ではアバスチンを投薬すると抜針日(木曜)から土曜の昼頃まで体がだるく食事がとれにくくなります。帰りにレトルトのおかゆとおじやの素を購入しました。
●同時にCT検査を早期に行うことにしました。混んでいたので2月22(金)に予約しました。診察は3月5日(火)になります。腫瘍マーカーの上昇ががん細胞を大きくしているのか判明します。ただ薬の投薬も強化していくので進行は止められるのではと期待しています。
●ところで春を迎え主治医の先生が神戸医療センターに来て満3年になるので病院を変わられるそうです。過去は2年ごとに転院されていたそうですが、今回は長くなりそうとのこと。「どこに行かれるのですか」と質問しますと「吹田市の済生会病院です」とお答えいただきました。どうやら管理職として出世されての転院のようです。おめでたいことです。
●私の主治医で3年、抗がん剤治療も今月末で丸2年になります。いろんな出来事があってお世話になりました。上手くいかなかったこともありましたが、なんとか生き延びさせていただきました。感謝しかありません。ただ今後の私の治療には手詰まりの感がありましたので、今度担当される先生ともじっくり話し合わねばなりません。
●他から外科部長が来られるらしいのですが、その方なのか残留されている他の先生になるのかは3月末までわかりません。現在の主治医の先生も3年間で多くの患者さんの手術を担当されシンパが増えているでしょうから引継ぎが大変だと思います。
●私のような一患者は千分の一かもしれません。自分から情報発信を積極的に行い、「良い質問」を投げかけて印象付けをしなければと思っています。相手の方の反応にもよりますが、自分の命は自分でも守らなければいけないという信念のもと、うまく付き合っていきたいと思います。
●今日7日(木)は抜針日です。昼頃には投薬が完了しそうです。昨夜はぐっすり眠れました。睡眠薬は飲まず8時間は寝ましたね。まず睡眠障害はクリア。朝食は食パンが1/2しか食べられませんでした。もこもこ感が食欲を阻害します。コーヒーも不味い。ただカット野菜に生ハムを乗せ胡麻ドレッシングで食べたものは完食です。旨かった。(笑)ヨーグルトもイチゴ、完食です。これから土曜日の昼頃までは食欲不振に陥るでしょう。食事内容を選択しながら試行錯誤です。
●今のところ下痢・嘔吐無し、髪の毛も抜けず髭が伸びている、鼻血もなし、血圧も降圧の薬を飲んでいるせいか120&83で安定。今回はバイオリズムが良いのかもしれません。今午前10時、トイレに立って投薬状況を見ると完了していました。早速病院へ抜針に行ってきます。
(備忘録は終わり)
■この日、2月5日(火)は私の好奇心を満たすような機会に恵まれました。まずは病院での暇つぶしに持参した角川書店のPR誌「本の旅人」2月号から、2つの連載小説にひさびさにワクワクしました。1つは10月号から始まった篠田節子さんの「失われた岬‐ザ・ロストケープ」2月号冒頭の第2章の意外な展開に驚かされたことです。
●第1章では主人公と思われる東京に住む美津子夫妻と信州に住む清花(さやか),亮介夫妻の交流から始まりそのうち清花,亮介夫妻が失踪してしまいます。そこへアメリカに留学していた清花夫妻の娘愛子が絡んで両親を探すという行動が描かれます。
●その過程で清花には信州で肇子(はつこ)という女性と交流が始まりそこから清花の言動、暮らしぶりに変化が起きたことがわかります。捜索は続きますが近くの岬の先に行ったまま消えたのかもしれないと暗示されます。
●第1章の終わりで清花の夫の亮介の死体が発見されるところで終わり、それから一気に3年の歳月が流れて物語の序章は終わりました。以上が1月号まで。
●私が驚き、興味津々となったのが2月号冒頭からAIによる臨床療法士が出てくるのです。患者は人間ですが重傷を追っている元起業家のようです。時は2031年頃のようですね。「すわっSF小説かよ」と読み進めていくと、物語は四半世紀前の2007年に戻ります。起業家は岡村陽(みなみ)27歳で起業とあります。
●物語は2007年当時に起業家として成功しつつある岡村とそこに第1章で清花の前に現れた肇子が出てきます。岡村と肇子の恋愛気味の話が語られた後2人は結ばれることなく終わります。そこで<続く>なんともまあ興味をそそる展開じゃないでしょうか?毎月1日が楽しみになってきました。
●2つめは新連載の「もっこすの城-熊本築城始末」伊東潤著です。これは久々にワクワクさせる展開の歴史時代小説です。冒頭、織田信長が本能寺で明智光秀に討たれたという情報から始まります。ご存知の方が多いように明智光秀は本能寺で信長を仕留めた後、いったん坂本城に戻りますが、すぐさま安土桃山城を攻めます。
●この時織田側で城を守っていた少数派の中に、信長の命で安土桃山城を実際に普請した木村次郎左衛門忠範がいました。彼は明智の軍勢が迫る中、討って出る覚悟を決めています。妻子のうち長男の「藤九郎」に言い聞かせる場面が秀逸。
●「藤九郎、決して短慮を起こしてはならぬぞ。そなたは戦闘を主たるとする武士ではない。城取りを継ぐものなのだ」城取とは城を取り立てる際の選地から経始(縄張りと事前準備)、さらに実際の普請(土木工事)と作事(建築工事)全般を指揮する統括者だ。と言って秘伝書と共に息子に託して忠範は討ち死にします。
●ここから藤九郎の成長物語が始まります。6年後(天正16年)秀吉の天下となった時勢、肥後の国を任されていた佐々成政の失政で国は召し上げられ成政は切腹となりました。
●後を任されたのが加藤清正と小西行長でした。肥後の国を2分し北側を清正、南側を行長が治めることになります。清正は尾張出身、急遽のお国入りで家臣の増員、充実が必要になり新たなお抱え家来を募集することになります。
●甲賀の里に移住していた木村藤九郎にとっては願ってもない仕官のチャンスです。この時点では特に実績もない20歳の若者ですから面接試験で落とされそうになりますが、父から託された城取の秘伝書をそらんじている旨を必死に伝え、めでたく仕官することが出来ます。
●単身で熊本に赴任することに決めた藤九郎に早速チャンスが訪れます。熊本の地で先輩2人に連れられて川の治水にまつわる仕事場に着きます。そこには新しい城主、加藤清正がいました。清正曰く「わしの当面の仕事は、①治水を安定させ川の氾濫をなくすこと ②街道の整備を行うこと ➂商人を育成して商いを新興することだ」と言い放ちます。
●佐々成政のように秀吉に注意を受けながら、いきなり検地をおこない地元民の反感を買って反乱を招くという愚は犯しません。流石名君の素地ありと描かれています。そんな清正は実績のある先輩2人と藤九郎を前に、この事業の統括責任者を誰にするかを周辺の家老たちに問います。当然重臣たちは実績のある年長者を推挙します。ところが清正は秘伝書をそらんじている藤九郎の知識に価値をおいてリーダーに任命します。経験者2人には藤九郎を補佐せよとのことです。
●いきなり大役を仰せつかったところで<続く>です。ここまで久しぶりにワクワクして一気に読みました。これまたこれから先の苦難に満ちた成長物語が予想されます。こういう展開は好きです。タイトルからするとやがて天下の熊本城を築城することになると思われるのでそこまでの過程が興味深いですね。これまた毎月1日が楽しみになりました。
■夜帰って休みながらぼんやりテレビを見ていました。野村萬斎さんがゲストの食べ歩き番組を観ていました。退屈になりBSに切り替えると、「ちあきなおみ名曲20曲を歌う」という番組に行き当たり、思わず見入ってしまいました。
後半なので40歳前半のちあきさんの妖艶な容姿と歌が聴けました。素晴らしい!(笑)
●録画していなかったのが残念の極みです。それでも最後の1曲だけ録画しました。直前の「カモメの街」を逃したのは痛かった。素晴らしい歌唱でしたね。また再放送してくれないかなと思いましたね。今日は抗がん剤の投薬日で疲れましたが私の好奇心を満たしてくれる良い出会いがありました。元気になりますね。
●早速昨日、2月6日(水)に買い物散歩のついでにTSUTAYAによって古びたちあきさんのCDを借りました。「カモメの街」も収録されています。マイクロSDに録音して携帯電話の音楽プレーヤーで聴きます。愉しみです。また久しぶりのTSUTAYA利用になりました。癖にならねばいいんですがね。(笑)<完>
- 登録日時
- 2019/02/07(木) 10:31