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【今月読んだ本その2】
『選ばれるプロフェッショナル』 ジャグディッシュ・N・シース&アンドリュー・ソーベル著
■本書は「クライアントを持つ」プロフェッショナルに向けて書かれています。シャイン先生の本の対象者からは少し絞り込まれた方々になるでしょう。私のような経営コンサルタントを生業にしているものには適しています。
■他にも弁護士、会計士、税理士、医者、銀行家、証券マン、営業マン、ファイナンシャルプランナー、広告代理店のクライアント担当者などクライアントに価値を提供する様々なプロフェッショナルたちに役立つということです。
■この本でもクライアントという言葉が使われています。シャイン先生は支援を受ける人と定義されましたが、この著者たちは「クライアント」と「顧客」との違いを説明する事で本書でのクライアントを定義づけています。
■顧客は自分のニーズに合った特徴が明示されている製品やサービスを買います。買い手と売り手のあいだには交渉の余地も話し合いの余地もほとんどありません。
■これと対照的に、プロフェッショナルとそのクライアントとの関係には相談に乗るという側面があります。つまりニーズを明確にし、問題点を特定し、解決策を提言することで双方向の関係が成り立ちます。
■顧客と製品やサービスの売り手の間には必ずしも個人的な関係はありませんが、クライアントの場合は、高い信頼関係をベースにした緊密な関係があるのが普通です。
■さらに言えば、プロフェッショナルはクライアントに、権威ある知識や専門性を提供します。つまり顧客ならファストフードで何を食べようと勝手ですが、税務アドバイスを得ようとするクライアントには好き勝手はできません。
■顧客ロイヤリティや顧客維持を主題とした研究や書籍はかなりありますが、複雑な製品やサービスを求める賢明なクライアントについては異なるアプローチが求められます。
■例えば、我々は「顧客が常に正しい」と信じ込んでいます。それは顧客を対象にした場合は当然の態度ですが、クライアントに対しては、彼らが間違っていることを指摘しなければならない時もあります。彼らに賛同できないときは、そのことを告げなければなりません。
■本書はクライアントとの関係を以上のように定義づけ、その目的を「真にクライアントのためになることをする」としています。それを実践するのがプロフェッショナルであり容易にはできることではないとしています。
■それは現実に多くの場合、プロフェッショナルとクライアントの関係構築を妨げる行為が行われているという。なぜなら多くのプロフェッショナルは、答えを出す事にとらわれ、自分は「専門家」だと認識し、優れた分析をし、専門特化をすることに励んでいるからだそうです。
■一方クライアントの方は、多くの場合プロフェッショナルが「適切な質問をし」、「深いだけでなく幅広い知識を提供し」、「分析のみならず大局的な考え方を示し」、「一方的に話すだけでなく、こちらの話にも耳を傾け」てくれることを望んでいるのだと指摘されています。
■さらにこの専門家といわれるプロフェッショナルとクライアントが望んでいるプロフェッショナルの違いを「エキスパート」と「アドバイザー」に分けて対比をして説明してくれています。(図を参照)
■そしてめざすべきは「信頼されるアドバイザー」であるとして、その道筋を「協働する関係」と「洞察」で示しています。(クライアントの価値領域に至る過程の図を参照)
■クライアントとの「協働」は自分自身の専門性を高めることに通じ、双方にメリットが生じる。「洞察」は長期的な課題や目先の課題について、全く新しい視点をもたらすこと。最も重要な問題に集中するよう促す。課題に応じて、アイデアや解決策を提供する。上手に質問し、話を聞きだし、話し合いをすることで、クライアント自身が自らの力で解決策を見出すのを助ける。という幅広い定義をしています。
■そして本書の7割近い構成は「選ばれるプロフェッショナルの構成要素」(上図を参照)を7つ挙げて具体的に事例を交えて解説しています。その全てをバランスよく身につけなければならないという厳しい内容の本です。
■そのバランスがくずれるとどのような状態になるかという示唆も提示されており、気をつけなければならない落とし穴とともに役に立つ内容です。
■最後に著者たちが繰り返し書いているトマス・モアの言葉を借りて「明日死ぬかのように生き、永遠に生きるかのように学ぶ」という心意気で日々を過ごすことが不可欠だという言葉が印象的です。
■プロフェッショナルについては他にも言及された著書がいくつもあります。例えばP・F・ドラッカー教授の「プロフェッショナルの原点」ダイヤモンド社刊なども合わせて読まれるとよいでしょう。
■わたしは今回の2冊を読み、自分の強みを「プロセスコンサルテーション」になるよう努力して、現在の専門分野を活かしながら、クライアントに信頼されるアドバイザーと評価されるプロフェッショナルをめざすと決意いたしました。<完>
- 登録日時
- 2009/09/18(金) 11:34