【今月の提案】▲今年最後の「月下美人」が咲きました。素晴らしい姿と香りで魅惑します。
4種類の情報発信の方法を使い分ける
●店舗は売り手と買い手のコミュニケーションによって商品やサービスが売買される場ですね。そこには商品を中心に売り手の情報発信があの手この手で工夫されて行われています。買い手はそれに基づき自分の欲望を満たすための手段として商品やサービスを購入するわけです。
●ではどのような情報発信が行なわれているのでしょうか?中心になるのは商品ですね。それは各店の「品揃え」ということで表現されています。品種・品目の多い量販店や百貨店、HC、部門が絞られたスーパーマーケット、ドラッグストア、購入側のライフスタイルに対応したコンビニエンスストア、品種が絞られたファッション専門店や携帯電話ショップなど様々な形態のお店がその特性に合わせて品揃えという情報発信をしています。
●それを前提にここでは、商品以外の情報の内容について私見を提案いたします。いわゆるチラシやPOP、販売ツールなどについてです。それぞれの情報の中核となる目的は「お客様の欲望を刺激し、買物へと導くため」にあります。現実には単なるお知らせや、無料サービスの案内もあります。これらは対象外と思ってください。
●小売店の店づくりのアドバイスを行っていて私が多くの店で欠けているなと問題意識をもっておりますのが、店舗情報にストーリー性がないということです。あるのは単発の①「要素訴求型」です。要素訴求というのは、「本日の目玉」から「秋物新入荷いたしました」「この商品の特長は○○です」というようなものです。
●次に多いのは1箇所で複数の要素を同時に知らせる②「要素羅列型」です。チラシでも、店舗の情報ボードでもよく行なわれています。まったく関連性の無いものを限られた面積に同時に訴求するというのは、不特定多数に伝えるためだからでしょう。
●もうひとつは私が重要視する③「販売のストーリー型」です。特に単品の通販を行なっているチラシによく見られるものです。必要性の喚起から、効用の伝達、(ある時と無い時の比較による動機付けが有効です)、また購入決定の促進をこれでもかと繰り返します。オファーの連続技などを駆使しています。(テレビ通販などでは常套手段ですね)
これは店舗ではあまり見られません。品種専門店では有効な手段です。
●私がアドバイスする機会が多い携帯電話ショップで欠けているのが、④「要素関連型」の情報発信です。携帯電話は「端末」の売買だけが決め手ではなく、「料金プランの設定」「サービス商品の購入」「コンテンツの購入」それに最近では「独自の購入方法」などもからんで、購入動機と利用動機の両方への刺激が必要なビジネスです。
●これを店舗全体では対応はしていますが、1箇所でわかるような情報発信がありません。ある共通する特性を持ったお客様を対象に携帯電話を使ったライフスタイルに必要なものをトータルで教えてくれる情報発信が望まれるところです。(綜合カタログでは網羅的すぎて、特定個人には理解がしにくい弱点があります)
●その他の業種業態でも、「トータルコーディネート」とか「用途関連陳列」などが行われています。しかし、要素関連が最も必要なのは単品種で用途発展型の商品です。例えばカーライフストアとかパソコン専門店などでしょう。
●自動車やパソコンは、典型的な用途発展型商品です。それに対してエアコンや冷蔵庫は用途が完結型です。用途発展型商品はお客様がそれを使って得られる生活上のメリットについて、知識や知恵が成長すればするほど需要が増える可能性が高くなります。それを誘導するのが「要素関連型」の情報発信です。
●4つの情報発信の方法をご紹介いたしました。それぞれの商売の特性とお客様の状態を想定してこれらの4つを使い分けていただければと思います。
<完>
- 登録日時
- 2009/10/14(水) 17:38