【旅行記】 『ふたたび訪れた日本一の並木道』
●月刊TSURUSAKIへの投稿を11月は休んでしまいました。読んでいただいている方には申し訳なく思います。そして12月も半ばとなりました。ようやく時間がとれましたので、これからは数本アップしたいと思います。ご興味のある方はお付き合い下さい。
●11月の14日(土)前日までの北海道での仕事を終えて、兼ねてより計画していました北海道大学のキャンパスと昨年、朝日新聞のアスパラ通信で日本一の並木道に選ばれたポプラ並木をふたたび訪れました。
●昨年の印象があまりにも良かったので、機会があればもう一度行ってみたいと思っていました。そして、昨年は10月半ばだったため紅葉が進んでいなかったので、もう1ヶ月遅らせればもっと秋らしい風情が味わえるのではと目論んでいました。
●もうひとつは、今年になってから携帯電話で音楽を聴くようになったので、ある音楽を聴きながら散策しようと準備をしました。
●さらに忘れられない味だった「クラークカレー」を北大内のレストラン「エルム」でふたたび味わうことでした。この3つの目論見を持っていましたので、仕事が決った数ヶ月前からずいぶんと愉しみにしていました。
●11月のこの週の北海道はとても寒かったのです。神戸では気温が15度から18度くらいの日々が続いていましたが、訪れた時は最高気温が3度でした。あやうく風邪をひきそうになりましたが、目標がありますので頑張って仕事をさせていただきました。
●そして14日当日、前日から予報どおり札幌は冷たい雨が降ってしまいました。しかもかなりの雨足です。しかし、初心貫徹とばかり札幌の町に飛び出しました。昨年は地下鉄北18条駅で降りて西に向かい、札幌農学校跡から南へキャンパス内を市内まで降りてくるというコースでした。
●今年はその逆を行こうと決めていました。降りしきる雨の中、レンガ造りで有名な旧北海道道庁の建物を通り抜け北上します。ややうつむき加減で早足になっています。「いかんいかん、ゆったりと歩こう」と自分自身に言い聞かせながら20分ぐらいで北大に到着しました。
●玄関には大きな銀杏の木が鮮やかな色でそびえています。カメラでパチリ、ですが、キャンパス内には他に紅葉が見当たりません。土曜日なので人影も少なく寂しい空間です。クラーク博士の胸像の近くまで急ぎ足で進みました。
●右手を見ると北大のキャンパスの中央の大通です。しかし期待した紅葉はありません。もう紅葉は散ってしまい冬景色ではないですか。ありゃ残念、期待は一気に萎んでしまいました。それでも気を取り直し、北上しました。こうなれば、少しでも紅葉を見つけて写真に収めようと目標を切り替えました。
●そうすると、冬景色の中にところどころ紅葉が残っているのが発見できました。それに地面に落ちた紅葉の絨毯を見出すこともできるじゃないですか、これは愉しいと、見つけては写真撮影です。そうしているうちに、ポプラ並木と銀杏並木と学生食堂とレストランエルムが集中する場所にたどり着きました。
●食事の前にポプラ並木を見ようと、左折して200mほど行くとあのポプラ並木に到着です。右手を見ると、「おお素晴らしい!健在です」昨年とはまた違ったポプラ並木が見えました。他には誰も居ないのでひとり悠然と歩きました。脇道である新渡戸先生の胸像の前を通りながら奥に入っていきます。
●雨の中のポプラ並木は違う絵を見ているようです。しばらく写真撮影を行い、メインの道を戻ります。戻りながら写真を数枚撮りました。ここで何か違和感を覚えました。この空間で感じているものが写真では撮りきれないのです。
●私は写真のプロでないせいか、その要因がわかりません。写真と現場は違うということだけがわかるのです。仕事柄、店舗の売場写真を撮って、それをもとに診断するということを行なっています。その時も、一度現場を拝見したお店と写真だけの店ではアドバイスの質に差が出てしまいます。
●これだな、現場と写真の違いはと気づいた次第です。やはり現地、現場を見ないで評価するのは危険だと感じました。やむを得ない場合は、より謙虚に評価をしないといけないなと思います。しかし、他では気づかなかったのにポプラ並木は教えてくれました。雨の中訪れた甲斐がありました。
●もと来た道を戻って、レストランエルムに向かいました。しかし、なんと本日は貸切ですという看板が出ています。誰も見当たりません。ずぶぬれなのでレストランのある建物に入り、しばし雨宿りをしました。残念でした。
●銀杏並木は半分ぐらい残っています。昨年は横目に見て通り過ぎましたが、今年は右に曲がって通り抜けました。何か食事をするところがないかと思ったからです。銀杏を踏みしめながら通り抜けると蕎麦屋がありました。なんとここで食べた蕎麦が美味しい。予定外ですがクラークカレーにありつけなかった悔しさを補ってくれる美味でした。
●店を出てふたたび北上します。もう平成のポプラ並木へ行く事は諦めていました。帰りの飛行機に間に合わなくなるからです。しかし、札幌農学校跡にはぜひ行きたかったのです。そこでBGMを効きながら散策する予定をしていましたから。
●しばらく歩いて大きな道を左折しますと北大のキャンパスが見えてきます。昨年のさわやかな雰囲気、学生達が自転車で行きかう活気もありません。静寂な空間に雨が降りしきります。
●右手に札幌農学校跡があります。しかし、ここでも期待していた紅葉はありません。落葉した跡の冬支度した木々があるだけです。しかも建物は11月3日で閉館とのこと。来年4月28日まで閉鎖とのことです。また残念でした。
●私の目論見は、この庭園を歩きながら携帯電話で「ブラームスの交響曲第4番」を聴くことでした。この名曲にふさわしい場所はここだというイメージを描いていました。少し趣きは違ったのですが、BGMにしながら人っ子の居ない庭園を1周しました。感動はしませんでしたが感じ入りました。
●3つの目論見は達成できませんでしたが、これも人生と同じ、何でも自分の思うようにはならないのだと納得しながら帰路につきました。途中の神社で思いがけない美しい紅葉に出会いました。宿舎の札幌グランドホテルに戻って帰りの土産を探していたら、レトルトですが「クラークカレー」を売っているではないですか。思わず買って帰りましたがまだ食べていません。2週間後にふたたび訪れた時は品切れしていました。余計に貴重品になりました。
●昨年の記事と比べてみて下さい。(写真だけでもいいですよ) <完>
- 登録日時
- 2009/12/14(月) 13:50