今月の提案① 『手段は目的に従う』
●筆者の仕事の多くは店舗づくり診断と処方箋の提案です。その結果をふまえて集合研修も行います。集合研修では店づくりのソフトウェアについて、基礎知識の伝達を体系的に行なっています。診断と処方箋の提案はお医者さんのように個別対応を行ないます。
●診断をする時には、まず問診から始めます。その時に店長によくする質問が、「このお店はどのような考え方で運営されているのですか?」とか「どのようなお店にしたいと思っておられるのですか?」とか「この商戦では何を重点テーマ(目標)にしておられるのですか?」とお尋ねします。
●その他にも「多い客層は?」「何を主力に販売するのですか」など短時間でお店を取り巻く状況と店長の考え方を把握しようとします。その後に店舗に出て、各コーナーを拝見しながら「この売場はなぜこのようにレイアウトされたのですか?」「なぜこのような陳列をされたのですか?ねらいは?」「このPOPのねらいは何ですか?」とお尋ねしながら確認して行きます。
●この時のわたしの問題意識は、この店の「目的は何か?」「ねらいは何か?」「このようにした理由は何か?」を知らないと的確な処方箋が出せないということです。
●明確な答えをいただく場合もありますが、たいてい返答に困惑されます。あとでじっくり考えれば出てくるのでしょうが、咄嗟には答えられない質問なのでしょう。おそらく日常業務では、常に考えることではないからでしょう。
●ましてや店長の場合は一国一城の主です。日々接するのは部下、仕入先、お客様、本部の上司やスタッフですが、多くの接触時間は部下ではないでしょうか?そうすると部下から「この店の目的は何ですか」という質問を受けることは少ないでしょう。
●一般の販売スタッフの方に質問する場合は、殆ど「ねらい」と「理由」をおたずねしています。このときも2対8ぐらいで返答は曖昧になります。ところがいきなり、「この売場は統一感がありますね、整理整頓ができていますね、このPOPの配色は素敵ですね」とお話していけば会話は弾みます。
●実際の現場では、尋問型で目的を確認していくわけではありません。両方をミックスしながら行なわないと空気は硬くなります。そして一通り確認と助言を終えた後に、実行課題を決めていただき取り組んでいただきます。
●そして、1週間ほどの間に私が現場で撮影した写真をもとに、課題の再確認や追加を指摘します。その時にこの「目的は何か?」について触れます。そして目的の重要性に気づいていただくように仕向けています。
●店(売場)づくりは手段です。手段にはいろんな視点によりさまざまなものがあります。私の中にも『7つの視点』があります。これが私の仕事の要です。今月はその中のひとつを別稿でご紹介しておきます。
●現実に自店を思い浮かべていただくと、人により様々なことを指摘されることを体験された方は多いでしょう。会社の上司、取引先のセールスマン、何人かのお客様、私のような外部の専門化と称する人、自店の社員、スーパーバイザー、SC内のデベロッパーの方など、様々な視点で感想や指摘をされるのではないでしょうか。
●その方々は多くの場合、手段について自分の見解を述べられることが多くありませんか。その時は、なぜそうおっしゃるのかという理由を確認することです。それが自店の目的にとって適切な助言であると判断できたものを参考にすればよいでしょう。
●大切なのは、自店の目的は何なのかを追究していくことです。表面的なCSではなく、「妥協のないお客様志向」を、自店に来ていただくお客様を対象に実践することです。店長はそれを言葉にしなければなりません。
●そして、その方々がお求めになられるお店の提供価値を高めることです。それはお客様におたずねしたからわかるものではありません。自分達で考え抜かなければならないのです。
●それが出来れば、手段は考えやすくなります。そして目的に向かって手段の実行と検証を試行錯誤していけば、その経験がノウハウとなり、店の底力がついてきます。「手段は目的に従う」という視点を意識して下さい。<完>
- 登録日時
- 2009/12/14(月) 14:27