【2020年5月の雑感④】
▲近所ではサツキの花が咲き誇ってきました。雨が上がると咲く量が増えるようです。もうすぐ満開を経て散ってしまうのでしょう。
須磨離宮公園も開業したようです。バラの花が満開でしょうから近々に訪れたいと思います。今年も見ることが出来るようです。楽しみです。
映画「ゴッドファーザー三部作」を見終えて
■25日(月)に神戸医療センターへ定期診察に行ってきました。結果は想定通り「白血球(好中球)の減少」と診断されました。またも2週間、抗がん剤「ロンサーフ」はお休みとなりました。骨髄抑制の副作用です。対策は無いそうですから自然な回復を待つしかありません。食欲不振は抑えられますのでしっかり食べて2週間後に備えます。
●本の読み過ぎとテレビの観過ぎかもしれませんが右目の眼底が痛くなりました。昨年の白内障手術のおかげで目がよく見えるようになって読書もテレビ鑑賞も過ぎたようです。しばらく抑制しようと26日から本もテレビも控え気味です。今日27日は痛みが取れ少し楽になってきました。今週一杯は控えめにします。そんな中BS3で放送された映画「ゴッドファーザー三部作」の録画を見終えました。
●PARTⅢなどは今まであまり見ていなかったので2回も見ました。(笑)筋書きの理解と役者の役名と顔が一致せずよくわからないところがあったからです。今回ですっきりしました。(笑)特に三作の中で評判が良くないPARTⅢですが、改めて見直してなかなかいいじゃないかというのが率直な感想です。
●主役のアル・パチーノが老いてドンとしての貫禄が伺えなかったのが私には残念です。病気と過去の行いへの後悔が前面に出されており最後の戦いに挑むドンとしての気迫が感じられませんでした。
●それと娘役メアリーでコッポラ監督の実娘ソフィア・コッポラが出演しているのですが、公開当時評判が悪くその年のワースト女優に選ばれています。もともと当時新進女優のウィノラ・ライダーが出演する予定だったのが彼女の病気で急遽代役で出演したのです。
●当時私も美人女優のウィノラに期待していたので残念でした。ソフィアも見ようによっては美人ですがイタリア系の美人です。鼻が少し大きく眼もやや上がり気味で唇も厚め、イタリア女優のソフィア・ローレン系の顔です。マイケルとシチリア島での妻、アポロニアとの間の子供だと納得ですが。
●ソフィアはその後2度とは映画出演はしないで親父と同じ監督の道に進みます。今では世界的にも有名で有能な女性監督になっておられます。中年になった彼女をテレビで見ましたがとても美しく、素敵な女性でした。一方、ウィノラはその後病気やスキャンダルでパッとしない女優人生です。ですが現在も脇役で活躍されているようです。
●今回PARTⅢを2回も見て私はソフィア・コッポラはいいじゃないかと思いました。初めての映画出演とは思われない微妙な乙女心を表現しています。当時はどうして悪評だったのか分かりませんね。最後のオペラ座の前で撃たれて死ぬシーンにはグッときました。ここではマイケルはかすり傷なんですが原作のマリオ・プーヅオはここでマイケルが死ぬ方が映画的だと主張したそうです。
●しかしコッポラ監督がマイケルには小説的な死に方、最後に老いぼれて1人でシチリア島の自宅の庭で崩れるように死ぬ方法を選びました。オペラ座で襲撃されて最愛の娘を失うことでさらに悲しみに暮れる過酷な晩年を過ごさせる筋書きの方がこの三部作にはふさわしいと思ったのでしょうか。私は賛成です。
●オペラ、マスカーニ作曲の「カヴァレリア・ルスティカーナ」がクライマックスのオペラ座の攻防戦のバックで演奏されます。マイケルの長男、アンソニーのオペラ歌手としての主役のデビュー舞台です。そして終演後の玄関でマイケルは襲われます。敵の殺し屋が放った銃弾はマイケルの隣にいたメアリーに当たってしまうのです。
●茫然とした顔で「パパっ」と叫んで崩れ落ちるメアリー、バックにはカヴァレリア・ルスティカーナの有名で切ない旋律の間奏曲が流れます。(これが実に良い)駆け寄り泣き叫ぶ母親のケイ(ダイアン・キートン)、その横で一瞬、声も出なくなってから咆哮するマイケルの姿、見事な演出です。思わず涙が込み上げて来ました。
●その後何年たったのか分かりませんが老いたマイケルが1人で庭先で自然死する姿でエンディングです。ファミリーは長男ソニーの息子、ヴィンセントに引き継がれましたから何らかの形で存続したのでしょう。
●ゴッドファーザー三部作は一大叙事&抒情詩でした。初代ドンのヴィトーが創業し、2代目マイケルが引き継ぎ発展させ、そして三代目ヴィンセントへの事業の継承とそれにまつわる家族の物語でしたね。私の解釈と感想は、本作はマイケル・コルネオーレの成長物語が主題だったのではないかと思います。
●厳しさと共に包容力のあった初代ドンの築いたファミリーを守るべく宿命にあったマイケル。彼は厳しさの鎧に身をまとい立ち向かわねばなりませんでした。第1作で姉のコニーの旦那カルロを粛正しました。ソニーを闇討ちにした裏切りです。第2作では次兄のフレドの裏切りを許さず殺しました。フレドの殺害がマイケルのこころの負債になっていたのが第3作で分かりました。
●他にも人殺しをしているのにやはり血を分けた兄弟への思いは違うのかと少し違和感がありましたが。日本の大河ドラマ「麒麟がくる」では信長は平気で兄弟を殺していますし、後悔したという小説は読んだことがありません。この辺りは私には理解しがたいことです。
●マイケルがシチリア島に逃亡中に現地の娘アポロニアと結婚し、彼女が殺された後、ほったらかしにしていたケイに求婚する身勝手さや、その彼女を騙してでも2代目ドンになることなど、女性から見たらずいぶん身勝手だなと思うんじゃないでしょうか。現に彼女は第3作ではマイケルのもとを去って再婚していましたが。
●第3作ではマイケルとケイが精神的に許し合うような展開でした。しかしマイケルの最後を見ると、メアリーの死でケイはマイケルとは完全に切れてしまったのではないかと思います。最愛で最も自分を慕ってくれていたメアリーの死はマイケルを孤独の淵に追いやったのではないかと思わざるを得ません。
●マイケルの成功は事業の発展と業界仲間の称賛でしか描かれていません。それ以外は敵対勢力を粉砕する殺戮シーンです。マフィアですから敵対する勢力との抗争に勝つ力は重要です。それについては見事に描かれています。特に第1作のマイケルのソロッツオと悪徳警官殺し、最後のゴッドファーザーとしての洗礼式の裏での敵対する組織の幹部の皆殺しシーン(この時の赤ん坊はコッポラの娘ソフィアが使われました)は緊張感と迫力に満ちていました。
●殺戮シーンはいくつも出てきます。どれも公開当時としては意表を突く迫力のあるものでした。それは日本版の「仁義なき戦い」の殺戮シーンの多さと同じで、娯楽映画として観客の好奇心を満たすための物だったのではないでしょうか。
●私には交渉相手がNOと言えない仕掛け(相手が大事にしている競走馬の首を寝床の入れるシーン)や自殺を教唆するたとえ話(ロバート・デユバル演ずるトム・ヘイゲン)の話やヴィトーがマイケルに話す「いちばん最初に仲介案を持ってくる幹部が裏切り者だ」という教え、ソニーに諭す「思いを簡単に口にするな」は第三作でもマイケルがヴィンセントに教えていました。こういう帝王学的なことが印象に残っていますし好きですね。(笑)
●ともあれ私の人生で最後になるであろう映画ゴッドファーザーシリーズの鑑賞は終わりました。9時間ばかりの映画ですが全く退屈はしませんでした。やはり私の好みにぴったしの映画です。あとはBDの特典映像を見る予定です。
■映画を観ている間、ネットサーフィンで見つけた興味ある記事をシェアします。特に映画から学ぶとか影響を受けたことは少ないのですが、他の人が書かれたものは新しい視点が学べます。
『ゴッドファーザー』から学ぶ「人生の教訓」9つ
https://cinema.ne.jp/recommend/godfather2018010206/
●演技法の違いからの分析は私にとっては初見です。「ふーんなるほど」と感心した内容です。
ゴッドファーザー3の不人気を演技の面から分析してみた
https://ameblo.jp/devikobayashi/entry-12374947569.html
■韓国時代劇「大王世宗」からも目が離せません。本作も世代交代、王位継承をテーマにしていますがその内容が私には解せません。第三代王太宗の四代目世宗への試練の与え方、重臣を使っての謀略など違和感を持ちながらも見ごたえがありますね。(笑)
●目の状態もだいぶ良くなってきましたのでそろそろ「双調平家物語」を読み始めたいと思います。ゆっくり少しずつ。<完>
- 登録日時
- 2020/05/28(木) 10:50