【2020年6月の雑感②】
▲雨の須磨離宮公園の薔薇園から。園内の遠景と今回はプチ・トリアノンです。ピンクの花の色も素晴らしいですね。
漫画家ジョージ秋山氏を悼む
■漫画家のジョージ秋山氏が5月12日に亡くなったそうです。6月1日のニュースで発表されました。(新聞は6月2日の朝刊でした)77歳、もうそういうお歳だったのだと初めて知りました。記事では代表的作品として大長編作「浮浪雲」や「銭ゲバ」「アシュラ」などが紹介されています。
●私も長い読者でしたが、保有していた作品のほとんどは昨年ブックオフに売ってしまいました。ブックオフが引き取らなかった「浮浪雲59巻」と「弘法大師空海の5冊」、それに新しく買った「浮浪雲111巻、112巻〈最終巻〉」が残っています。そして愛蔵版として残した私の中の名作「博愛の人全8巻」が手元にあります。
●私が秋山氏の大作「浮浪雲」を読みだしたのは新婚時代の27歳のころでした。秋山氏は32歳。ほぼ同時代に仕事、家族、取り巻く人々との人間関係などをテーマに描き、私の心を癒してくれた作品でした。働き盛りに伴走してくれた作品でもありましたね。一番印象に残っているのは雲の親方でも妻のオカメさんでもなく「書き役くん」です。雲の友達になりたいのに引っ込み思案な1人者です。あのキャラクターはとても興味深かったですね。
●それでも秋山氏の私の中の代表作は「博愛の人」です。二宮金次郎を主役にした名作です。まるで作者に金次郎が乗り移って書かれたような作品です。作者が50歳前後の作品のようです。
●ですが殆ど内容は覚えていませんのでもう一度第1巻から読み始めています。ところがなかなか読み進められません。やはり内容が濃いのです。じっくり味わいながら読んでいます。尊徳語録も多く収録されていて読んで意味を理解するのにも時間がかかっています。
●読了してからの感想は後日書きます。今回は本作の概要を出版社の情報を転載しておきます。興味のある方はぜひお読みください。Kindle版で発売されているようです。
【第1巻】黎明編
小田原の栢山村の裕福な農家に生まれた金次郎。父は、村人たちにお金やお米を貸し、栢山の善人と呼ばれていた。そんなある日、村を川の氾濫が襲う。金次郎の家の田畑は流され、突然貧しい暮らしを迫られる…。薪を背負い、歩きながら読書に励む二宮金次郎。彼の苦悶の生涯にジョージ秋山が迫る力作!
※同じような境遇の美しい娘が登場します。事情があって貰われた家の仕事をしながら読書に励んでいます。金次郎は大いに触発されますが、彼女は不治の病に罹り自死してしまいます。稀でしょうがこういう人も居たんですね。
【第2巻】青春篇
落ちぶれた家の再興に成功した金次郎は、キノを嫁にする。しかし、寝食を忘れ勉学に励む金次郎と、キノとの関係は、日に日に悪化してゆく。一方で金次郎は、家老服部十郎兵衛の家に出入りし、藩主の目にとまるが……!!
【第3巻】疾風篇
藩主大久保忠真の命を受け、荒れ果てた農村・桜町領三か村の復興へ向う金次郎。しかし、桜町領では、土地だけではなく村民の心も荒れ果てていた。金次郎は、荒廃した村を興すのは、村民の心から耕さなければいけない、と村民たちに博打を禁じ、鍬を買い与えるが…。
【第4巻】烈風篇
おクマの指示で、毎晩おみよの元を訪れる幸助。幸助はおみよの父に金を渡し、娘のおみよを手込めにする。ある日、桜町領三か村に「なやみやくるしみをもっておいでなさい」と書いた紙を配る巫女の姿をする女が現れ、村民の心を癒してまわるが…。
【第5巻】横風篇
金次郎は、不二孝教主、小谷三氏の元を訪れる。小谷三氏は、後に金次郎の助けとなる人物。一方おみよと次第に幸助は愛し合うようになり、幸助も田畑を耕し始める。幸助は足を洗う決意をしたが、そのことを良く思わない岩波五六八によって、幸助は殺害されてしまう。
【第6巻】熱風篇
成田山新勝寺で21日間の断食修行を終えた金次郎は、以前にも増してたくましい人格を持って戻ってくる。そして病の床につく藩主大久保忠真に悟りを説く。一方、桜町領三か村のおクマの元に、おクマの娘キクが戻ってくる。
【第7巻】激風篇
金次郎の努力の甲斐あって、桜町領三か村の村民は農耕に励むようになる。しかし、金次郎は食した茄子から村に飢饉が来ることを予感。大久保忠真の元へと急ぐが肝心の忠真は病床で、面会できない。しかし、金次郎は、村民たちに年貢を免除する代わりに稗(ひえ)を植えるよう説得するが…。
【第8巻】暁の大往生篇<完結>
体調が優れない金次郎。しかし幕府から光御神領の村々を再考するよう命ぜられる。日光へと赴こうとする金次郎を、長男・弥太郎は強く止める。金次郎は、弥太郎がお民という評判の悪い女と結婚するつもりだと知り……。天下万民のため、村の復興に奔走しつづけた二宮金次郎の生涯を描く!
■本作を読むのは愉しみなんですが他にも楽しむものが多くて困ります。「双調平家物語」の読むスピードは落ちています。池宮彰一郎さんの「平家」はまだ読みかけなのでしばらく放っておきます。氏の小説「天下騒乱」を題材にしたテレビ東京の10時間ドラマの再放送が今週金曜日で終わります。「決闘鍵屋の辻篇」は良かったですね。特に村上弘明さん演ずる荒木又右衛門は素晴らしかった。
●韓国時代劇「大王世宗」は月から金まで毎日、「華政」は食後に半分観ています。政治ドラマとしては「大王世宗」は見事な作品です。また世宗の成長物語としても山あり谷ありで秀逸です。最後まで目が離せません。「華政」では16代王「仁祖」の治世が描かれますが、追放した15代王光海君から「ならずもの、取るに足らぬ男」と評された綾陽君こと仁祖の無能な政治ぶりが描かれます。担がれた相手が悪いと流れは悪い方、悪い方へと進んでゆきます。これからまだまだ悲劇が描かれるでしょう。「馬鹿な王様敵より怖い」の事例ですね。
●BS12で中国ドラマ「三国志」の再放送が始まっています。第1話は見逃したのですが2話から今日で8話。前回観た時にはよく分からなかったエピソードや話の流れがつかめるようになって夢中になっています。今まで読んだ蜀の国を中心にした三国志とは視点が全く違います。衰退する漢王朝対曹操・曹丕の戦いですね。これからますます面白くなるのでぜひご覧ください。
■ジョージ秋山さんのご冥福をお祈りいたします。素敵な物語の数々ありがとうございました。どこかで家族で、仲間と「ワッハッハ」と笑っておられると思います。私は書き役くんと2人で静かにお送りしたいと思います。<完>
- 登録日時
- 2020/06/10(水) 10:07