【2020年8月の提案①】
▲この時期の適切な花の写真が見当たらず、困った時の薔薇の花にしました。知人が送ってくれたものです。須磨離宮公園では見かけなかった紫色のバラです。私の好きな色の一つです。
ありのままに見る<前篇>
■本文を書き始めたのは8月の22日(土)です。今朝で抗がん剤「ロンサーフ」の前半5日間の服用が終わりました。24日(月)の夕食後まで休薬期間になります。ほっと一息です。今回は昨日21日(金)の夕食が食べられないほどむかつきと膨満感がありました。薬の副作用が強くなったようです。
●むりやり夕食はお茶漬けでご飯一膳をかきこみました。そうしないと薬が飲めないからです。しかし夕食後に便意をもよおし4回もトイレに駆け込む有様です。最後の2回はとうとう下痢になりました。体は、ぐったりです。暑さのせいで冷たい飲み物が多くなり、夕方からは冷房で体が冷えたせいではないかと思っています。
●風呂で体を温めて早めに横になりました。冷房はしないで寝るので暑いのですが心頭滅却です。やがて眠りに落ちます。4時間は眠れます。午前2時過ぎにトイレのために目が覚めますが、その後は午前6時ごろまで眠れます。私のタンクは、4時間が限界のようです。2度目に目覚めた時は「ああ今日も生きて目覚めた」と思うようにしています。(笑)
●1時間ほど朝のまどろみを楽しんでから起床です。起きると洗面だけでなく家内の布団上げやゴミ捨てなど体を動かすように心がけています。そして朝食です。病院に入院していた時と同じような朝食の量と内容を食べるようにしています。病院食がモデルです。
■今回のメインテーマは身辺整理をしている時に見つけた小林茂先生の旧い講演録を読み直して気づいた「仕事の仕方、生き方」の参考になる内容の紹介です。
昭和54年4月27日とありますから今から40数年前の記録です。
●マーケティング関連なら現在には通用しないかもしれませんが、マネジメント関連の本質的なものは十分参考になると思います。仕事だけでなく生き方全般で私たちのあり方に示唆を与えてくれる内容だと思います。上手く要約できるかは分かりませんがご笑覧ください。
●今日は23日(日)幾分か涼しくなった気がします。カレンダーには処暑とあります。家族で暑さを処分する時期かなと喋っていました。念のためネットで検索すると、…「暑い陽気が停止。初めて暑さが引き始め、終わっていくころ」といった意味です。とありました。そろそろ秋が始まるという意味ですね。個人的にはこの暑さの中よく頑張りました。(笑)
●小林先生の『ありのままに見る』は先生の体験的マネジメント論です。先生は学校を出てから印刷業に携わっておられたようです。共同印刷という会社だそうですが、あるとき知人の方からソニーという会社への転職を紹介されました。
●印刷業しか知らないのにエレクトロニクスの会社ですから知識はありません。しかもいきなり厚木工場の工場長としてスカウトされました。逡巡は有りましたが当時の社長の井深大氏から「工場を潰しても良いからあなたの思い通りにやって見なさい」と言われ決心しました。
●井深氏の言葉を受けて小林さんは「意気に感じた」と仰っています。それは「捨て身の信頼を受けたから」だとも述べられています。それが自分の中に「情熱を生み出し」自分のためだけでなくこの工場を「何としても良くしたい」という『使命感』みたいなものが生まれたと述懐しておられます。
●私の個人的な体験では転職ではありませんが社内異動で転機を迎えたことがあります。振り返るとこの『使命感』というのは持てなかった、ただ「逃げるのは嫌だ、何とか乗り切ろう」という決心をしたのを覚えています。この講演録を紹介するにあたり小林さんのように『使命感を持った』というくだりは普通の人間には難しいことだというのが率直な感想です。
●ですが世の中にはいろんな方が居られます。歴史上も上杉鷹山や二宮尊徳という偉人が体験されています。小説などで知ることが出来ます。「使命感を持つ」というのは間違いではありませんので共感される方はぜひ「使命感」についてお考えください。
●では小林さんは具体的にどんな行動をとったかというと。仕事の内容と働く人の気持ちを知るために「ひたすら工場の中を歩き回った」そうです。そして目新しいものですから素直に見ることが出来た。従業員にも質問をして教えてもらうことが多かったと述べられています。「詰問ではなく質問だった」と。
●この経験からこの工場の病気の本質が見えて来たそうです。「従業員の労働不安と精神的退廃」と診断されました。それに対する今までの会社の対応は労働組合対策という対症療法だったということです。
●それが分かったのは「この工場を何とかしなければ」という必死さと「何にも知らない」という2つの条件で『非常に虚心に素直に、事実を見ることが出来た』からと述懐されています。経験豊富、ベテランだとこれはできにくい。現場を見るのも監視的というか注意をするために歩くことになる場合が多い。
●病気の本質が分かったならそれを何とかするというのが次の仕事です。小林さんは『厚木工場の仕事と生活を従業員にとって面白いものにする』という基本方針を立てられます。
●しかし、実践するとなると、大変なことです。というのも「そうじゃないかなあ」と思ってやることはやるのですけれど、自分の認識の確かさ、効果性には自信がなかったようです。それを支えたのは「後に引くには引けない必死の気持ち」だったそうです。
●具体策は工場長の小林さんが見て回って気づいた問題点を部下の課長たちを集めて、毎朝モーニングミーティングを開いたそうです。「問題提起」による情報共有です。すると課長たちは「そういえばこんなこともありますな」という事実を言い出したそうです。
●こうして話しているうちに「ああ、これは、やっぱりいかんなあ」ということが段々はっきりしてくるのです。そしてどうしたらいいかということについても意見が出てくるのです。いろんな意見の後、最後に「よしっやろう」という決断のみ小林さんがやったそうです。
●私たちは毎日の仕事ではいろんな問題に直面します。その時、ありのままに事実を見ないですぐ答えを出すという習慣があります。つまり問題の本質を掴まないまま対策に走るということです。勿論必要な時もありますが、多くの場合表面的な対策で間違えることが多いのです。
●ここまでで小林さんの体験談からくる『問題解決には事実をありのままに見てから対策を考える』という必要性が述べられています。これは後年、私が小林先生の流れをくむ故伊櫻淑親先生の「仕事研究集団の作り方」で学んだことと共通します。「人は事実を自分の見たいように見る」というユリウス・カエサルの言葉と共に、『事実をありのままに見る』ことの難しさを思い起こしました。
●同時に人は自分の意見に固執する、というのもありました。議論するのが目的ではなく問題(課題)を解決するのが本来の目的であることを忘れてしまうのもありました。自分の意見の前に「事実をありのままに見る」という習慣が重要です。お医者さんも必ず診断をしてから処方を下しますからね。
●ここまでで本稿は終えます。これもまた前篇として後編では小林先生の講演録の後半を紹介したいと思います。読者の皆様の『考えるヒント』になれば幸いです。<完>
- 登録日時
- 2020/08/24(月) 09:49