【2020年8月の提案②】
▲ハイビスカスの花。手持ちの花の写真が無くなったので買い物散歩のついでに、近所の花屋さんに寄って撮影しました。花言葉は「繊細な美」「新しい恋」
そして赤色の花の花言葉は「勇敢」です。他にも白、ピンク、黄色があるそうです。
ありのままに見る<後篇>
■まだまだ暑さは続きそうですが、蝉の声も少なく、小さくなってきて夜には虫の鳴き声が聴こえます。ゆっくりと秋に向かっているのでしょう。早く涼しくなってくれと思いつつあせらず季節の流れに身を任せ、穏やかに過ごしています。
さて前回の続きです・・・。
●俺は分かっているが強敵
「最初の3,4年はこれで成功したようの思えたのですが、7,8年目ごろには何かおかしいと感じるようになった」と小林さんは述懐されています。
その要因を「私はいつの間にか〝俺は分かっとる“という工場長になっていたのです。簡単に言うと初心を忘れたのです。素直な心で、ありのまま事実を見るということをやりたくなくなったのです。”この工場はこんな良い工場なんだから、
変なことなど起こっているはずがない、もし仮に起こっていたとしても見たくもない、こういう気持ちになっていたのです。」と述べられています。
●思い上がり,慢心、(慣れ)がそうさせたのでしょう。危機感がなくなり使命感も薄れてきたのだろうと反省されています。当然、『素直に事実をありのままに見る』ことなどできなくなりました。
●実際に仕事をしていればほとんどの人が同じようになるのではないでしょうか。最初は前任者がやって上手くいかなくなった職場を任されたとき、多くの人が現状を把握されると思います。その時はいろんな問題点や従業員の不満を素直に、あるいはある種の喜びを持って見たり聴いたりされると思います。
●前任者の不備を確認するのは自分がしたわけでないので気持ちよく受け入れられます。また自分が何とかしてやるという気持ちもあって自然と素直になれるのですね。ただ事実をありのままに見られるかはわかりませんが。
●それも自分がやって上手く行きだして慣れてくると、小林さんと同じように、謙虚さは無くなるのが普通です。明らかな不都合でない限りは見落とします。部下たちの忖度も働き出して、問題提起よりも問題がないことを伝えられることが多くなります。
●これはやむを得ないことかもしれません。他人の失敗には冷静で客観的になれますが、自分のこととなるとその逆になることが多いのが人間の性だと思います。それだけに『そういう自覚を持って仕事に当たれれば同じ地位に長くいることの弊害も防げる』のではないかと思います。
●小林さんの体験をヒントにするならば、このことを自分は実践できるかと問うことが意味あることだと考えます。いかがでしょうか?考えるヒントにしてください。
■答えを先に立てて議論しない
もう一つ小林さんの教えで心に残るのが、ミーティングのあり方です。当時も今もそうかもしれませんが、会議をすると議題に対して参加メンバーは賛成、反対の立場で意見が言うことが多い。
●そして自分の意見の理由を述べるのですが、(これは必要なことです)最初に賛成か反対かを決めているとその答えを立証する理由を述べることになります。
そこには自分の考えを相手の説得に使う内容になります。
●ですが問題というのは解決するには「問題は何か」を掘り下げないと本質が見えてこない。そのためには問題の事実を冷静、客観的に見なければならない。客観的とは徹底的に事実を追求しなければいけないのです。
●答えを先に立てて議論をする前に、客観的事実に対して己をむなしゅうして、その事実に則していく。それでも自分一人ではどうしても偏ります。だから自分とは性格も立場も違う人が同一の問題について見た事実というものを集めることが客観的な判断をするために非常に大事なことだと思うと仰っています。
●この事実の共有こそがミーティングの第一歩である。好むと好まざるとにかかわらず、「あるものはある」、見たかろうがなかろうが「あるものはある」のです。だから、そうしたみんなの見たデータを集めてくるというのが情報の共有化だという事だと思います。
●事実情報の共有をしたなら、それからどう解決したらいいかの意見を述べ合うと良い。そこには各人の個人的な考えから生まれた答えではない、こうすればいいんじゃないかというような意見が出てくる。これを小林さんは「寄合の効果」と表現されています。
●いろんな解決策が出てくるが事実を共有しているので大きく的が外れることは無い。それでも様々な意見が出るので簡単に解決策は一致しない。そこで最終的に決断をするのがリーダーの役割であると述べられています。
●その時リーダーに必要なのは「使命感と謙虚な気持ち」です。使命感は何としても何とか問題を解決しようという気持ちにつながります。謙虚さは事実に対してと、自分は万能ではないが自分のエゴでない判断をしようという行動になります。
●ズバッと捨て身で決心するけれど、その決めたことを実行するプロセスにおいて、非常に心配なはずなのです。だから物事を決め、行った後で、しょっちゅうどんな反応が起こっているか、どんな状況が起こりつつあるのかということについて、神経質なほどに気を遣うのが当然だと思います。
●その反応をよーく見て、もし、間違っていたなら決断を変えなければいけない。それを変えるか変えないかという判断は、やはり精進潔斎でなければいけません。(心身を清浄な状態に置くこと)-これはちと難しいですね。(笑)
●最後に小林さんは、そうあるべく常に努力しているかと問い、執念深く努力し続けることが大事だと結んでおられます。リーダーの立場にあるビジネスパーソンにとっては非常に重要なことだと思います。
■小林茂先生の著書「チームマネジメント」マネジメントセンター刊があります。
名著ですがアマゾンの中古でも入手不可能なようです。代わりに「第三の組織論」というのが2015年に出版されています。これは入手可能なようです。興味を持たれた方はご一読ください。
●小林先生は1990年に亡くなられています。私が師事した同門の伊櫻淑親先生もすでに故人です。同じ流れをくむ藤田英夫先生は御健在のようで、「人間力の正体」や「人間力全員経営」などを出版されています。働き甲斐のある仕事の仕方を生み出すコツが学べるでしょう。<完>
- 登録日時
- 2020/08/27(木) 15:16