【2020年9月の雑感①】
▲ビンカの花(日日草)初夏に植えて夏から秋にかけて楽しむ花のようです。
これも花屋さんの店頭で撮影しました。
台風の影響で私の住む街も強風と雨です。九州は大変でしょうね。それから今年は朝鮮半島への上陸が続いており、被害が広がらないよう祈ります。
男の涙
■ここ最近テレビで印象に残った「男の涙」について書いてみたい。1つは安倍晋三総理の辞任会見、2つはプロ野球阪神タイガースの藤川球児選手の引退会見、3つは9月5日の阪神巨人戦で、5回途中11失点でKOされた藤浪晋太郎投手のベンチでの涙です。
●3人とも周知のとおり男性です。大人の男は人前でめったに涙を流さないものだという考えもある中、私も幾度となく流した経験があるので共感する部分があるのです。3人の涙の理由は本人が何も言っていないので推測するしかありませんが。
●私の推測は安倍さんと藤浪投手は「悔し涙」だと思います。そして藤川投手は、的確かは分かりませんが、自分の発した言葉に対する「自己陶酔」からくるものだと思います。
●「悔し涙」は分かりやすく、自分が達成しようと思っていたことが途中で叶わず挫折することから生じる感情のなせることでしょう。「自己陶酔」は実はよくわからないのですが、自分で話しているうちに自分の言葉に誘発され、身のうちから湧いてくる感情だと思います。
●人間には他にも涙する機会はあるでしょう。例えば肉親や身近な人や動物の死、映画やドラマ、小説などの描写で「号泣必至」などのシーンに共感した場合など悲しい場面での涙、あるいはうれし涙の場合もあるでしょう。すべからく感情の働きによって涙はあふれ出るのだと思っています。
■3人の涙についてもう少し掘り下げます。まず安倍さんは任期を残して潰瘍性大腸炎の悪化のため辞任に至りました。安倍さんが涙したのはテレビを観る限り「拉致問題が未解決にあること」に触れた時です。
●おそらく一生懸命この問題の解決に取り組んでこられたと思います。ところが総理になられてからは何ら進展することなく、その間に有本恵子さんのお母さん、横田めぐみさんのお父さんが亡くなられました。水面下ではいろんな努力をされたのでしょうが、目標達成に至らなかった。ご家族との約束が果たせなかったそんな悔し涙だったと思います。
●この件に関しては歌手の松任谷由実さんが共感する旨をツイッターで発信されました。「なんか切ない」と。ところが京都精華大学の講師、白井聡という法学者が松任谷さんの知性をけなし、荒井由実のまま逝けばよかったなどという暴言をフェイスブックで発信しました。炎上しまして謝罪に追い込まれましたが、謝罪文のなかであくまで松任谷由実さんの「知性に失望したので」と、この学者の余ほど自分が知性豊かだと思い込んでいるらしい発言に失笑ではなく軽い怒りを覚えました。
●安倍さんの涙はその後の支持率を20ポイントも挙げたという報道も耳にしました。朝日新聞はスルーしたようですが。(笑)安倍さんもご自分の涙で支持率回復をするのは本意でないでしょう。何とか北朝鮮との間の懸案を自分の手で解決したかったでしょうが、これは「成果なし」と評価せざるを得ません。
■9月5日の藤浪晋太郎投手はふがいない投球でした。巨人ファンの私ですが、藤浪だけは何とか復活して欲しいというシンパシーを感じる野球選手の一人です。彼が高校生の時、世界選抜の大会に選ばれたときから注目していました。同期の大谷翔平は打者で、日本のエースは藤浪でした。
●優勝はできませんでしたが、2人はその後プロ野球の世界に入ります。藤浪は1年目から活躍しますが大谷は少し育成期間がありました。あれから8年2人の運命は大きく変わりました。方や大リーガー、藤浪は低迷しています。
●今シーズン藤浪は復活の初勝利を挙げました。ひとつひとつ階段を昇っているかに思えました。シーズンオフには球界の先輩である元中日の山本昌さんのアドバイスも受けて何かコツを見出したかに思えましたが。5日の大事な巨人戦で5回途中11失点という失態を演じてしまいました。
●7点を取られたところで交代かと思いましたが矢野監督は続投させました。その真意は分かりませんが、さらし者のようで可哀想になりましたね。本人もマウンドで修正のしようがなくなりパニクッていたかもしれません。ようやく交代させられベンチで我に返り、自分の不甲斐なさとチームに迷惑をかけたことの悔いから涙があふれたのだと思います。
●安倍さんと違って藤浪には次のチャンスがあります。それを活かさないとプロの男としては情けない限りです。政治家の挫折とプロ野球選手の挫折は同じレベルでは語れませんが、私は藤浪選手には何としてもこの悔しさをバネに復活してもらいたいと願っています。
■さて引退する藤川投手の涙は先の2人のような悔し涙ではありません。引退の哀しみでもありません。自分はやり切ったという満足感・高揚感からくる自身への称賛を込めた言葉に誘発された自己陶酔だと思います。
●藤川は25歳から今日40歳を迎える15年間、いつ潰れてもよいという覚悟を持ってやってきたと。素晴らしい火の玉直球を駆使してストッパーとして日米通算250セーブまであと4つにまで迫りました。(名球会入りの条件)
●精神面では『粉骨砕身』をモットーにやってきたそうです。粉骨砕身とは「力の限り挑む」ことです。逃げないで真っ向勝負は観ているものをワクワクさせました。
●そのことを語っているうちに「粉骨砕身」という言葉を発した後に俯いてしまいました。こみ上げる涙をこらえているようでした。本人は「セーフ」と言って涙をこらえたようです。あとは笑顔で話していましたが、あの時は「粉骨砕身」という自分の矜持をあらわす言葉に一瞬酔ってしまってこみ上げるものがあったのだと思います。
●「俺はやりきったぞ」という自負が感情を高ぶらせたのではないでしょうか。
悔し涙に比べると晴れやかな涙だと思います。自分で自分を誉めたい気持ちになったのでしょう。観ていてもとても爽やかな引退会見でした。
●後輩たちに「巨人を倒さねば」という熱い思いを訴えていました。自分が在籍しているうちに3度は優勝したいと思っていたそうですが、まだ2回で終わっているそうです。今期優勝してその目標をかなえたいと締めくくっていました。
●巨人の原監督も藤川の「粉骨砕身」という言葉に共感されたのか好意的な発言をされています。ある期間厳しい世界で活躍してきた人たちには、「粉骨砕身」という四文字熟語は共感を呼び起こすのではないでしょうか。自分もそうだった、また十分ではなかったがそうありたかったなどの思いがある人が多いと思います。
●尚、藤川の3回目の優勝は巨人が阻止します。(笑)藤川一人では優勝はできません。それより個人成績の250セーブを達成するよう頑張ってください。ただ手術をしないと治らないような状態になっているという情報もありますから、無理は禁物です。
●直近の3人の男の涙を見て少し思いを馳せました。泣くのは人間の特権でもあります。生まれた時はみんな泣いてこの世に出てくるのですから。人生の一大事の時にそれぞれが自分の感情に素直になって涙を流すのも良いのではないでしょうか。
■プロ野球も今シーズンは異例の展開ですが半分を過ぎました。11月上旬までのペナントレース、そして下旬の日本シリーズまでまだまだ楽しめます。そんな中ついこないだ阪神ヤクルト戦で珍プレーがありました。「昭和の宇野」「平成のレイサム」に並び称される『令和のマクガフ』事件です。
●「昭和の宇野」とは1981年(昭和56年)中日の宇野勝遊撃手のショートフライをグラブではなく頭に受けて落とした事件です。投手の星野仙一さんがグラブを地面に叩きつけて怒っていたのを覚えています。
●「平成のレイサム」とは2003年(平成15年)巨人の助っ人レイサム左翼手が外野フライを取って一死なのに二死と勘違いしてボールをスタンドに投げ込んだ事件です。ランナーが居たので当然得点が入りました。
●そして今回の「令和のマクガフ」2020年(令和2年)は、阪神vsヤクルト戦二死2塁3塁からヤクルトのマクガフ投手がランナーのいない1塁にけん制球を投げてボールがファールグランドを転々とする間に逆転の走者2人が返って負けたという試合です。地元のサンテレビはその時なぜかスタンドを映していてその瞬間をキャッチできませんでした。チョンボでしょうね。(笑)
●暑くて野球選手もチョンボをします。だから観客は面白いというか一喜一憂を楽しめるんですね。「いやあ、野球っていい娯楽です」<完>
- 登録日時
- 2020/09/07(月) 11:16