【3月の提案】 『浅田真央さんのオリンピック挑戦に学ぶ』
■冬季オリンピックは盛り上がりましたね。特に女子フィギュアスケートは、久しぶりにドキドキしてテレビ観戦してしまいました。昨年はWBC、今年はスケートと日韓対決はヒートアップです。
■テレビ観戦から私が気づいた、仕事に役立つだろうと思われるヒントをお伝えします。フィギュアでもスピードスケートでもスキーでも、普段から見慣れていないものは、素人には結果はわかっても、プロセスがよくわからないということです。プロの解説を聞いて初めて、着眼点やどこがどのように違うのかがわかります。そこで…
■私達の商売でも、お客様の中には販売している商品によっては、素人に近い方が沢山おられます。そのような方々を想定して、お客様が1人でも購入できる状態にすること、質問されなくてもわかるように売場づくりや接客をすることが販売員の重要な仕事になります。
■ところがただ置いてあるだけ、並べてあるだけの店も多々あります。コンビニやスーパーのように、扱っている商品の使用頻度が高く、お客様が使用と買物経験が豊富なものなら熟知されているので問題は少ないでしょう。
■しかし、毎日使っていても数年に1度しか買わない車や家電製品やパソコンなどは、その商品の進化が容易にわかりません。特に家電製品などは種類が多く、自分にとって最適なものを納得する価格で購入するのは簡単ではありません。
■そこで効果的な売場づくりや販売員の適切なアドバイスが求められるのですが、これがなかなか充実しているとは言えません。お客様の購入に至る心理を考え、それを適切かつスムースに買物ができるように対応するのが販売店の役割です。
■しかも、状況によってはお客様がご存知でないことのメリットをわかりやすく伝えるという役割も求められます。要望に適切に応えるという機能とともに、欲求を引き出すという機能が求められます。その機能を果せるのがプロの販売員、販売店ですね。
■素人のお客様には、見えないところ、気づかないところを明示してあげて、お客様が自らの意思で選択、購入できるように導く「こころと技術」を身につけなければ、お客様満足は実現できないなァとあらためて感じました。
■浅田真央さん(「ちゃん」の方が一般的ですが、もうこれからは「さん」と呼びましょう)は残念ながら負けてしまいました。後から競技の評価の内容を新聞・テレビで見ると、負けるべくして負けたといえます。キム・ヨナさんがミスをしない限り勝ち目はありませんでした。
■勝つ為の戦略ミスは戦術では補えないという典型です。コーチの差がこの結果を招いたのではと思います。評価点の配分のあり方を問題にするより、なぜ今回の組み立てを行なったのか、どのように勝算を考えていたのか、という分析が大事でしょう。
■キム・ヨナ陣営は、3回転半はできないから選んだジャンプの基礎点の方が高いのも勝因ですが、全体にスピードを重視した組み立てのようです。コーチはヨナさんに男子のスピードを体得させる練習をしたそうです。
■そしてご自身が金メダリストであり、オリンピックは自己との戦いであるというこころの持ち方のケアを重視しました。テレビでみたヨナさんのコーチのあの落ち着き払った態度はなかなかの人物ではないでしょうか?
■フィギュアスケートという競技は、本番でいかに落ち着いて普段の練習どおりの力を発揮するかが決め手のようです。こころと体は相関関係にあります。こころをコントロールできないと、体は思い通りには動かせないですね。
■私達の仕事の多くは1回の勝負で決るほどシビアではありません。しかしいろんな難題にも遭遇します。そんなときに感情に流される事なく、落ち着いて対応しなければなりません。表に現れるのは表情や行動です。こころのコントロールが体を支配することを再認識しましょう。
■真央さんの演技直後の悔し涙にはもらい泣きしてしまいました。どれだけの努力を積み重ねてこられたのでしょうか。もうこれで大丈夫というぐらい準備されたようです。弱冠19歳の女性です。頭が下がります。悔し泣きは人のこころの本音が現れ、他人のこころを動かす力があります。
■それでも彼女は翌日のインタビューでは気丈にも笑顔で対応していました。そしていち早く次のソチ五輪への意欲を示しました。世界最高得点をたたき出したキム・ヨナさんには伸びシロはあまりありませんが、失敗した真央さんには未来への目標があります。(キム・ヨナさんには引退の憶測も流れています)
■ここに学ぶポイントがあります。成功するまで続けるという態度、そして素早い立ち直り、成功する人はそういうこころの切り替えができて、逆境を跳ね返す力がある人だと思います。時を同じくして女子プロゴルファーの宮里藍さんが、米国ツアー開幕2連勝を飾りました。彼女は言っています。渡米しての4年間の積み重ねの結果ですと。彼女も挫折から立ち直り、飛躍しつつある1人です。
■最後に二人の衣装の色も影響があったのでは?真央さんは赤、ヨナさんは青でした。赤の色彩心理は「情熱的、前向きになる、気合を入れる」でした。青は「冷静に落ち着いた、自己表現ができる、集中できる」です。そういえば、真央ちゃんは(戦う前は「ちゃん」と呼んでいました。)とても気合の入った顔でした。(私は個人的には笑顔の真央ちゃんよりきりりとした勝負師の顔の方が好きです)ヨナさんは凛とした顔で落ち着いていました。
■フィギュアのようなコンテスト競技には、普段の力を十分に発揮する落ち着ける衣装の方が合うようです。自分との戦いだからです。競争競技や格闘技では赤でもいいかもしれません。自分の好みではなく状況に応じた対応をすることが必要です。(青の衣装はこれで5連覇だそうです。20年ですか…)
■これから4年間の浅田真央さんの歩みが楽しみになりました。心・技・体を磨かれ、優秀な頭(ブレーン)を見つければ鬼に金棒です。悔し涙を流したバンクーバーから栄光のソチとなりますように応援しましょう。
■今回の学びのポイントは
①素人にも気づけるようにわかりやすくするのがプロ。
②戦略ミスは戦術では補えない。
③こころのコントロールが鍛えられた技を、体を通して発揮させる源。
④継続すること、挫折からの素早い立ち直りが成功への条件。
⑤色彩心理を活用して成功への条件を整えよう。
以上の5つでした。<完>
- 登録日時
- 2010/03/11(木) 11:51