【今月のトピックス①】
お客様に必要性を気づかせる今週のauのチラシ
■上記の写真は今朝、3月13日(金)の携帯電話ショップauのチラシです。
■久しぶりに写真を撮りました。とにかく端末の羅列と価格訴求一辺倒のチラシが多い携帯電話ショップですが、これは久しぶりにユーザーに必要性を気づかせる内容になっています。
■今春の携帯電話各社のターゲットは、中学生の高校進学時の購入を突破口に家族全員を自社に取り込もうということのようです。(日本経済新聞2月21日づけ「エコノ探偵団」より)
■同記事の中で、ベネッセ教育開発センターが08年に実施した調査によると、自分専用の携帯電話を持つ割合は高校1年生が91.0%と、中学3年生の46.7%から44.3%も伸びている。高校進学前に購入するケースが多いと見られる。
■またKDDIの談話として「中学生は小学生と異なり、自ら携帯を選びます」。小学生までは親に決定権があり、親の契約する携帯会社の携帯を買い与える。しかし、中学生は各社を比較して自分で欲しい機種を選ぶようになる。家族全員での乗り換えを狙う各社にとって、中学生に選ばれることが最重要課題になっているわけだ。とあります。
■私が住む兵庫県では、昨日が公立高校の入学試験だったようです。来週には合格発表があるのでしょう。上記の記事に注目して近所の携帯電話ショップを回ってみましたが、ソフトバンクショップだけが高校名と合格祈願のメッセージを店頭に訴求していました。
■さてauのチラシに戻りますが、ご覧になるとわかりますように、家族を対象にしています。家族では大雑把でイメージが伝わりませんが、このチラシでは、4つの対象顧客の状態をイラストとコピーで明示しています。
■①新高校生になる娘とママにはカラー訴求 ②新大学生になる息子には通学の楽しみ ③お父さんにはオシャレと健康 ④孫と連絡をとりたいおじいちゃんおばあちゃんにはメールを というように、お客様の状態と最適な商品を結びつける情報発信です。
■これは商品とお客様の状態を結びつけて必要性を喚起する具体例です。これこそTVCMではできにくい、チラシならではの情報発信です。自宅に居る購入前のお客様を想定し、その方々に必要性を喚起する好例でしょう。見事です。
■さらにその下には既存客と新規客の両方に価格訴求と割引訴求をしています。通常の5万円という価格帯は1機種に絞り、機種変更で36,750円、新規で21,000円さらに春割で実質0円だということがよくわかります。この流れはチラシの役割を果しています。
■裏面は(こちらが表面に見えるかもしれません)旧モデルを中心に、22歳以下の方を対象に新規を切り口におススメ機種を訴求しながら、「機種変更も値下げでお買い得!!」と訴求しています。ただ明らかに新規契約、番号そのまま乗り換えの方(MNPなどという業界用語は使っていません)が対象です。機種変更の方の価格はわかりやすいとは言えませんし、いくら値下げになったかもわかりませんね。
■今回の注目は家族をねらった「新生活を楽しみまSHOW!!」の4つのターゲットに対する必要性の喚起の仕方にあります。そして商品の特長は1つに絞って対象の状態にフィットさせたメリットを訴求していることです。ぜひ参考にしてもらいたいものです。
■あとは、店頭でどのように展開されているかでしょうね。チラシと売場の一致は小売業の課題です。価格を一致させることはスーパーマーケットではあたりまえです。しかしこのようなテーマ販促になるとスーパーでもなかなか一致した訴求はなされないものです。
■auショップ(今回は4店連名でした)ではどうでしょうか?ちょっと確かめてみようと思います。ファサード、商品展示スペース、待機スペースで訴求されていると素晴らしいのですが…。ぜひそうあって欲しいものです。
■但し、日頃から学生が立ち寄らないような商圏のお店では同じような考えで店づくりをするわけにはいきません。おそらく郊外型住宅立地やショッピングセンター内、郊外の駅前立地のショップでは必須のことでしょう。
■新聞記事にあったような、女子中学生をねらうチラシは来週かもしれません。3月20日から4月4日(日)までの2週間は春商戦の最大のヤマ場であり、決戦の時でしょう。各社がどのような展開をされるかは楽しみです。<完>
- 登録日時
- 2010/03/13(土) 11:09