【4月のトピックス③】
岩崎夏海とドラッカーに学ぶ
●昨年12月に岩崎夏海氏の今話題の著書を本欄で紹介しています。私は予想屋ではありませんが、時々第一印象でこの人は売れるという予想が当たる時があります。今までの自慢は、無名時代の高橋尚子さん、仲間由紀恵さん、宝塚時代の天海祐希さん、演歌歌手の水森かおりさん、作家の湊かなえさんです。(全て女性ですね‐笑)湊さんの「告白」が映画化され6月に公開です。愉しみです。今月文庫化され本屋さんに山積みです。映画監督の解釈が面白いです。
●岩崎さんの著書は内容もさることながら表現手段が素晴らしいと思いました。ビジネスを小説仕立てで書いて成功されているのは、三枝匡さんの三部作が有名です。実践に裏打ちされた優れた小説です。しかし読者は限定されます。その点岩崎さんの著書は、ドラッカーという巨人をバックボーンにその普遍的な内容を、多くの人々に興味を惹き起こすように創られています。
●しかも表紙と中味のギャップの落差を大きくして話題を呼びやすくする心理学の活用がなされているように思います。これはご本人の意向ではなく他のどのたかの知恵だろうと思われます。
●特に今年の春先から岩崎さんの本はよく売れているようです。累計で48万部に達したそうです。平行して新聞、雑誌、テレビ(NHKのクローズアップ現代他)でも取り上げられついに先週の「週刊ダイヤモンド誌」の表紙と特集記事に取り上げられました。(写真参照)岩崎さんにとっては良かったですね。
●マスコミで取り上げられることでご本人の顔写真も露出が増えました。ドラッカーが基本的な資質としてあげている「真摯さ」が滲み出ています。数年前30代半ばのときにドラッカーのマネジメントと言う本に出会い、涙を流すほど感動したとお仰っています。
●私のように、この人は売れると思っても何もしない人間と違い、これは素晴らしいと感動したら、それを自分の仕事にしてしまうことが何かを生み出す生き方のヒントかもしれません。傍観者から自分の中に取り込むということが重要なんじゃないでしょうか?
●週刊ダイヤモンドの特集記事から印象に残ったところを紹介しておきます。関心を持たれた方はバックナンバーを探してでもお読み下さい。ちなみに私のドラッカー歴は実質5年くらいです。20代の頃勤めていた会社で勉強会があり「経営者の条件」がテキストでしたが、ちんぷんかんぷんで何も頭に入らず、その後のビジネス人生でも役に立てたことはありませんでした。
●50歳半ばで関心を持ち始めました。殆ど重要な原典は読んでいません。そういう人間の解釈ですのでお含み下さい。
●記事の中でまずメモをしたのが、岩崎夏海氏と同書の主人公のモデルとされるAKB48の峯岸みなみとの対談から次のくだりです。
岩崎:峯岸は司会やトークが非常にうまいのですが、その最大の長所は、【彼女自身が目立つのではなく、周囲のメンバーを立たせようとするところ。】
●峯岸:自分ではそういう意識はなくて、この子の発言を加えたら、もっと私の話が広がるとか、自分のためにやっている部分が大きい。ただ、【あの子に話を振ったら盛り上がるとか、すごいぶりっ子で面白い子がファンの前では萎縮していると、公演でその子にあえてそういう話を振ってみようと考えたりはしますね。】
●ここでの私のメモは、岩崎氏の相手の長所をズバリ指摘して話題づくりをしているところです。ドラッカーは「強みを活かせ」と強く言っています。なぜなら人は強みでないと成果に貢献できないからです。
●私達もいままでうまくいったことは、自分の得意なことや持ち味でしか成し遂げていない事に容易に気づきますね。ダメなところは指摘をされるとか叱られて修正したり直したことはあるでしょうが、それで何かを成し遂げる経験は殆どないはずです。
●次に岩崎氏の指摘の内容ですが、これからのマネージャーに求められる条件を示唆しているのではないでしょうか?マネージャーの役割は自分が目立つのではなく、メンバーを引き立てるということです。
●私達も、他の人に引き立てられ自分の力を発揮して成長してきたのではないでしょうか?引き立ててくれる上司の下で働いた時がイキイキしていませんでしたか?マネージャーが頑張って引っ張っていくようなチームや組織では、自分は本当に元気だったか思い起こして下さい。
●峯岸さんは素直に自分の本心を語っています。自分のためにやっている部分が大きいと。だけどやっていることは周りのメンバーを観察し、その良さを引き出そうとする行為です。ご本人は明確に意識して回りのためだと思ってやってはいないのでしょうが・・・。
●この後岩崎さんは峯岸さんに対して上手いフォローをしています。それは何だと思われますか?興味のある方は考えてみて下さい。普通に考えればわかることです。岩崎さんはドラッカーの教えを短い言葉で伝えています。勿体ぶるようですが、答えが気になる方はぜひ立ち読みでもいいですから探して下さい。<完>
- 登録日時
- 2010/04/23(金) 12:40