【今月見た映画】
あの湊かなえさんの小説「告白」の映画版を見てきました。
■平日の昼下がりなのに映画館は満員です。レディースデーということで90%以上が女性客。仕事の取材の合間をぬって上映時間間際に行った私は、一番前の席しかなくちょっと窮屈でした。しかし席が無いので両サイドにはやむなく若い女性が座られました。
■小説については2008年11月に本欄に感想をアップしています。その翌年に本書が本屋大賞を受賞した時も感想をアップしています。文学に対する見識が浅い私ですので平凡な感想文です。
■当時、早く文庫化すれば100万部は売れるだろうと予測していましたが、双葉社の新聞広告では累計、210万部突破!(6月5日現在)となっています。流通在庫もあるでしょうから、実際は200万近い人が読んでおられるのでしょう。
■今回の映画化は昨年の秋ごろからわかっており楽しみにはしていました。「嫌われ松子の一生」(中谷美紀主演)という映画も創られた、中島哲也さんという監督さんが脚本も手がけられ、松たか子さんが主演というのでどのような作品になっているのかという興味がありました。
■1時間45分ぐらいの上映時間ですが、退屈しませんでしたね。画面に集中し体が緊張しているのがわかります。体が少し汗ばんでいました。一言で言えば「面白い」です。平凡ですね。(笑)両サイドの女性の存在すら忘れていました。(通常は観察するんですけどね)
■しかし、文章と違って映像はインパクトがありすぎです。私には少しエグイと感じました。(歳のせいかな?)映画だからやむを得ないのでしょうか?特に流血は映像でしかリアルに表現できませんでしょうからね。
■この物語は復讐をテーマにしたサスペンス構成だと思います。その復讐の手段がユニークなのが特に女性には受けるのではないでしょうか?湊さんが女性ゆえに思いつかれる手段ではなかったかと思います。
■それに湊さんは、学校の教師も少しされていたからその時に感じられたバカな子供、親などに遭遇されていたのではないでしょうか?その子供が結果として悪事を働いても、少年法で守られていることの理不尽、相手に意識が向かない自己中心的な人間がのさばっていること、それらに対して物語を通じて鉄槌をくだしたのではないでしょうか?
■中島監督は「復讐は何も生まない」という主旨のことをおっしゃっています。松たか子さんは復讐だとおっしゃっています。お二人は違う意見のようです。私は悪事を働いたものは罰を受けるものだと信じています。法的に不可能なら非合法でも復讐すべきと思います。
■必殺仕事人が面白かったように、はらせぬ恨みは何としてもはらしてスカッと終わらないと、エンターテイメントは意味がありません。しかし、本作の森口先生は、生き残った少年Aに何年か後に復讐されないかと心配です。
■わたしにはよく理解できなかったのが、犯人の子供がマザコン(だろうと思う)なのか?そんなにお母さんにやさしくされ認められたいのだろうか?自己中の母親なのに・・・。やっぱりみんな「自己重要感」に飢えているのだろうか?
■双方向のコミュニケーションが少ない会話の場面が多い映画です。登場人物みんなが自己主張しているように思えました。これでは惨劇もやむなしか。
「なんちゃって」・・・松たか子さんの最後のセリフです。
■ちなみにこの映画のリメイクのオファーが海外から殺到しているとのことです。中島監督は松さんの役はオーストラリア出身のハリウッド女優ニコール・キッドマンを指名されています。仕事をやりとげ、それが成果を生みつつある余裕でしょうか?楽しいでしょうね、中島監督。
<完>
- 登録日時
- 2010/06/11(金) 15:28