【今月のトピックス②】
共感を呼び起こす靴下屋の父の日プレゼント広告
●これは新聞広告です。父の日が近づき(6月20日)テレビCMや新聞、チラシ広告で父の日のプレゼントがクローズアップされています。
●私が印象に残ったのはテレビCMでは、酒場でサントリーの角瓶をSODAで割ってハイボールにする娘さんのシーンです。これはサントリーにとってはウィスキーを売ることが目的ですが、それを達成するには父と娘で一緒にお酒を飲みながら何らかの話をするという、お客にとっての目的を提案しているのですね。
●この場合お客にとっての目的は「語らいの時間」であって、お酒は手段(道具)になります。お酒というモノが生み出す利用価値がお客から共感を持って迎えられるかが売上を左右します。
●共感という観点から各種媒体に注目していた時に、靴下屋の新聞広告を見て思わず「上手い」と唸りました。写真をご覧になれば一目瞭然、何を言わんとするのかがあっという間に伝わるでしょう。
●私は亡くなった父にこういうことをしてもらった記憶はないのですが、自分は子供に何度もした経験があります。その時の子供の嬉しそうな顔が昨日のことのように甦ります。
●このように「共感する」とは、自分も「体験したことがある、ある」というものに遭遇すると沸き起こるこころの働きです。そうすると対象に対する親近感が湧いて、需要の喚起につながることが考えられます。
●しかし、この広告の対象客はプレゼントをする子供さんや奥さんでしょうね。私のような父親が共感しても自分は貰う方だから、コレを見て靴下をプレゼントしてくれとは言い難いものです。また言わないでしょう。
●人間にとって多くの記憶は、してもらったことより自分がしたことのほうが鮮烈に残るものです。この場合は多くの父親は私のように共感するでしょうが、果たしてしてもらったお子さんや、その母親はどのように受け止めるのでしょうか?
●ぜひ効果があって欲しいと思います。そして靴下屋さんの店舗に行けば、そこで意味のある提案が欲しいものです。靴下をプレゼントするのに店頭で悩む方も少ないでしょうが、ありきたりのものではなくなんらかの提案が欲しいですね。
●提案にはデザイン、素材、カラー、使用場面で変化をつけることは可能です。そうでないと集客には成功するかもしれませんが、送り主に最後の共感を呼び起こすのは店頭の役割です。広告と店舗に一貫性のあるストーリーを作られていることを期待します。<完>
- 登録日時
- 2010/06/17(木) 16:32