【8月のトピックス①】
大河ドラマ『龍馬伝』を見ていて感心したこと
● 猛暑と共にプロ野球は、セパ共に熱くなってきています。野球オヤジの私にはたまらない時期です。以前は日曜日の夜はナイター中継を観戦するため、午後8時からの大河ドラマは飛び飛びになったものです。(録画までしては見なかったのです)
● ところが近年、プロ野球人気の低下とともに日曜日はデーゲームが多くなり、夜は大河ドラマを見ることができるようになりました。しかし、流石に今日(8月1日)は暑くてナイターのようです。
● どうしようかなと思案していますが、BSで午後10時から見るかと思いつつあります。そんなにまでして見ているのが今年の大河ドラマ『龍馬伝』です。「風林火山」以来久しぶりですね。「篤姫」は殆ど見なかったし、「天地人」も飛ばし飛ばしでした。来年の「江(ごう)」もおそらく見ないかもしれません。
●『龍馬伝』の魅力はすでにあちこちで語られています。私はプロデューサーの鈴木圭氏の言葉、『龍馬伝』で描こうとしている坂本龍馬像は、「ネバーエンディングな人」わかりやすくいえば、「進化し続ける人」「自分に終着点を設けない人」「果てしない伸びシロを持った人」という表現が気に入っています。
● また演出の大友啓史氏の「人が人を惹きつけるのは、決してその人が語る「内容」のみではないと思います。それは、『誰が発するのか』によるところが大きい。その人が発する声は、『音』―でもある。その人の発する仕草や佇まいは、『匂い』―でもある。」
●「龍馬が人を惹きつけるのも、彼の『声』や『仕草』、『匂い』ではなかったか・・・改めてそう思います。それは「論理」+アルファの世界・・・感覚的な『音楽的な装い』に近かったのではないか・・・そうも、思います。」
● というコメントに共感を覚えます。(NHKの龍馬伝のHPで大友氏の書かれたコメントを読まれるとこのドラマをもっと見たくなりますよ。)・・・最近、雑誌「新潮」2010年7月号の付録にあった、故田中角栄氏の最後の大演説を聴いていて同じような感想を持ちました。
● また最近、販売のプロとして売れっ子のトレーナーにお会いして話をする機会がありました。彼の話の内容も参考になりましたが、私と話している時の表情、仕草、声の調子を観察していて、これは売れるなと思いました。しかし、おそらくそのことは人には伝えきれていないだろうなと思います。天性の魅力に思えたからです。
●『龍馬伝』は第3部に入りました。長崎編です。このあたりの構成も上手いですね。土佐では広末涼子、江戸では貫地谷しおり、京都では真木よう子、そして長崎では蒼井優です。なかでも私のお気に入りは楢崎お龍役の真木よう子さんです。(風林火山にも出ていました)
● 先月だったか先々月だったか忘れましたが、龍馬がお龍を寺田屋のお登勢に預けたあと、しばらくして尋ねた時のシーンに感心したことがあります。もともと父親を武士の争いの中で殺された(父親は医師)お龍は他人に対して無愛想です。(このキャラクターが実にいい)
● そんなお龍にお登勢は、旅篭と飲食の寺田屋で働くには愛想よくせよと諭しますが、お龍はできません。そこへ訪れた龍馬はお龍に「お龍さん、『うみ』っ言うちゅみぃ」と声を掛けます。(この時の福山龍馬の仕草、表情、声は良かったですよ)『うみ』と言えば表情が自然と『笑顔』になるんですね。
● その場ではできなかったお龍ですが、その後のシーンで『うみ』という言葉をつぶやきながら「笑顔」で「いらっしゃいませ」と応対を始めます。勿論お龍は龍馬が好きだから言うことを聴いたんだと思います。それでも「笑顔でお客さんに接しなきゃいかんぜよ」と言うたのではお龍はできなかったでしょう。
● 具体的な方法として『うみ』といえば笑顔の表情になるということを教えたからできたと思います。現代ではおそらく接客トレーナーの方々はこのような方法をいくつも教えておられると思います。
● このシーンを見ながら「信頼」と「思いやり」に基づく「方法論」が人の指導には必要だと感じた次第です。尚、この『うみ』という言葉には、「受け容れる」と「認める」という意味づけをする人もいます。
● 親業で有名なゴードン博士は受容(受け容れる)と同意(認める)は違うと言っておられます。龍馬はお龍を受け容れましたが、無愛想な対応には同意していませんでした。だからお龍のためを思って助言したのでしょう。それも説教ではなく、さりげなく「方法」を伝えたところが感心です。でもお龍は、龍馬に受け容れられているのがわかっていたから態度を変容させようとしたのでしょう。人を受け容れる力、それも龍馬の魅力のひとつでしょう。
● この文章を先月の「海の日」に7月のトピックス②として書こうと思っていたのですが、多忙でタイミングがずれました。今日から8月、これから海に出かける人も多いのではないですか。そこで「うみ」といって笑って見てください。真夏の太陽も、あなたの大切な人も笑顔を返してくれるでしょう。(笑)
<完>
- 登録日時
- 2010/08/01(日) 12:07