【2010年9月のトピックス①】
8月の新聞記事からヒントになるもの
● 私の場合、良いアイデアを生み出すには他人のアイデアのインプットが必要です。そこでテレビや新聞、雑誌、インターネットを毎日見ています。それをヒントにしながら、当面の課題に対する対策手段のアイデアを考えます。
● ある仕事が一段落したので溜まっていた8月の新聞記事の切抜きを読みました。その中から役に立つなと思ったことを紹介いたします。今回はマーケティングに関する情報です。
● 最初に日経MJ紙から。「八塩圭子ゼミ」で八塩さんがジャパネットたかたの高田社長との面談から「普及理論」について述べられています。
●「ⅰPhoneと普及理論」についての記事の中で。「キャズム」について書いたところ、高田社長の関心を誘ったそうです。
● 最新商品はまずイノベーター、次に初期採用者が採用するようになり、その後7割近いボリュームゾーンを占める大衆に伝播していくとされています。大衆に採用される前には「キャズム」と言われる大きな溝があって、それを越えるかどうかで製品が普及するかどうかが決まるということです。
● 大衆に新製品が普及するための要素を2つあげておられます。1つは新製品の「性能」が従来品より優れているかどうか。しかし、いくら優れていてもあまり操作が難しいとか、従来品と互換性がないと採用の妨げになります。
● そしてもう1つは、新製品の生み出す「便益(ベネフィット)」が伝わりやすいかどうかという点です。この新製品を使うと、どんな価値がもたらされるのかをわかってもらえないと買ってもらえません。
● これをジャパネットたかたは分かりやすい言葉伝えていると紹介されています。「商品の先にある生活や感動を届ける」というジャパネットたかたに企業理念は、製品普及の決め手になるのではないかという提言をされています。同感です。製品の「便益」を伝えることが小売業の重要な役割ですね。
● 同じ日経MJで「販促お悩み相談所」の竹内謙礼氏は「買わせる商品紹介文のコツ」という記事で、「お客様の購入後をイメージさせる」ことが重要であると提案されています。
● 例として、ネクタイを購入するお客様の購入後に思っておられるイメージを想像すること、あるいは価格重視の人は、購入後の財布の中を想像しながら商品を手に取る・・・など。
● お客様が「商品を購入する」というのは、目の前にある商品と「購入後」の自分のライフスタイルのイメージがぴったりと一致した時に発生する行動パターンであるとおっしゃいます。
● 商品紹介文は商品そのものの説明を書くのではなく、購入後の状態をイメージされるものを書きましょうということ。例えば「紺色の細めのネクタイ」という事実情報だけを書いたのではそのことしか伝わりません。
● しかし、「紺色のネクタイは、いろいろな色のスーツに合わせやすい」「細いネクタイはカジュアルなジャケットにぴったり」など「購入後」の提案をすると、その商品を身につけた自分自身が想像できるので、商品を身近に感じやすくなるといいます。
● 売れる文章というのは、事実を述べるだけでなく商品を手に入れた後の、具体的なシチュエーションを提案しましょうという提言です。これも八塩さんの提案と通じるところがあります。商品がもたらす「使用上の価値」が伝わらなければ買い気は高まらないということですね。
● 最後に同じ日経MJから、接客アドバイザーの北山節子氏が、接客におけるお客様の情報を販売スタッフが共有することの重要性について述べられています。その具体的な方法として収集した情報を「5W3H」で整理しましょうと提案されています。
● 1人のお客様から5W3Hを聴き取ることは容易ではありませんから、集めた個々の情報メモを5W3Hで整理することでお客様へのより良い対応を共有するのに適していると提言されています。
● ちなみに5WとはWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、3HとはHow To(どうやって)、How many(どれくらい)、How Much(いくらで)ということです。
● これらの3つの記事から得られるヒントは、製品(何を)とお客様(誰に)を結びつけるのが小売業(販売店)の役割とすれば、この結び付け方(いかにして)が重要であり、その方法を技術として身につけなければならないということでしょう。
● それが、「製品の特長」を「お客様にとっての価値」に置き換えて(翻訳する)訴求するのが小売業(販売店)の果さねばならない使命であるということです。
● それはホームぺージ、チラシ、新聞広告、売場づくり、POP、接客応対によって「一貫性のある」訴求がなされるなら、必ずやお客様の支持は得られると確信いたします。<完>
- 登録日時
- 2010/09/03(金) 16:17