【9月のトピックス②】
8月の新聞記事から「なるほど」と思ったこと①『動的平衡』
● 8月11日から5日間、朝日新聞朝刊で「夏の基礎講座」という連載記事がありました。専門家に対して朝日新聞の違うジャンルの専門記者がインタビューされたもので、面白そうだと切り抜いておきました。
● 5日間のテーマは「生命」「同盟」「市場」「世論」「結婚」でした。小市民である私は、大きなテーマには関心が薄く、身近だと感じる「生命」と「結婚」に関心を持ちました。
●『生命』の担当は分子生物学者の福岡伸一さんです。著書「生物と無生物のあいだ」や「動的平衡」がよく売れているそうです。以下新聞記事から抜粋しながら私が感心したことを紹介いたします。
●「もともと生物はレイジー(怠惰)な存在です。-中略‐『自由であれ』と遺伝子が命じているのです。」のっけからこの暑い夏にいささかまいっている当方の生活態度を肯定してくれる言葉に肯きました。(笑)
● 「寅さんは生物学者から見ても魅力的な人間です。効率なんてあまり考えず、ゆったりとした時間の中で暮らし、何が自分の身に応じた『分際』なのかをわきまえる。マドンナに恋心を寄せながらも最後は黙って去っていく」
でも若い人にはあまり早くから分際をわきまえない方が良いように思いますね。
●「60兆の細胞から成り立っている人間の体は、せせらぎによってできたよどみのようなもの。水は絶え間なく流れ込み、いったんよどみを形成しまた流れる。」
●「私たちの生命は受精卵が成立した瞬間から始まり、脳細胞や心臓の細胞は分裂せずずっと存在しているように見えますが、その中身が入れ替わっているのです。他の細胞は細胞ごと入れ替わっています。これが『動的平衡』」
●「つまり今日と明日の自分は全く違う存在なのです。『行く川の流れは絶えずしてしかももとに水にあらず』です」なるほど、そうですか。
● 話は組織論にも及びます。サッカー日本代表だった岡田武史監督も著書「動的平衡」の愛読者で親交があるそうです。
●「脳が生命を支配しているという唯脳論的立場から見ると社長や部長は脳で、社員は末梢器官。上意下達の関係です。でも、脳が命令して心臓が動いているわけでもインスリンを出しているわけでもない。」
●「体の代謝はそれぞれ自立的にやっているのです。-中略‐脳が人間の体や心をすべて支配しているというのは、生命観の大きな錯誤だといいたい。」
● 部下には主体的に動ける人材になってもらいたいとおっしゃる企業トップが多いのですが、もともと生物である人間には主体的に動くものであると気づかされるのではないでしょうか?
● ただレイジー(怠惰)な存在でもあるわけですから、そこに主体的に動く「条件づくり」が必要なのではないでしょうか。その条件をつくるのがマネジメントだと思います。その条件に気づくか否かが組織を活性化する決め手だと思います。
● いかがでしょう?面白いですね。福岡教授のお話はぜひ記事を読んでいただきたいと思います。もう新聞は捨ててしまった方は、ネットのasahi.comで「仕事力」と題するインタビュー記事を4回に亘ってアップされていますのでそれを読んでみてください。勿論新聞にも掲載されました。<完>
- 登録日時
- 2010/09/03(金) 16:20