【2010年10月の提案】
『購入プロセス』も顧客満足の重要な要素です。
● 最近、自分が体験したことからあらためてお客様の「購入プロセス」の重要性に思いが至りました。購入プロセスというのは顧客満足の公式のひとつの要素です。その公式とは・・・。(上記のファイルもご参照下さい)
● 顧客満足(CS)=商品やサービスがもたらすお客様にとっての価値+購入プロセス(購入前&購入時&購入後)/お客様が負担する費用+同時間です。
● 小売・サービス業の立場からこの公式を捉えると、分母の商品・サービスはメーカーが開発します。小売業の役割はそれを品揃え(選択し調達する)して、個々の商品の価値をお客様に翻訳し伝えることになります。その時分子の価格も同時に決めます。
● CSについては、商品やサービスそのものがもたらす価値や小売業やサービス業では品揃えや価格、接客応対が重要であるというのが定説になっています。私は、もう少し視野を広げてトータルで対応すべきだという考えです。業種・業態別に重点要素は変わってくるのだというスタンスです。
● 購入プロセスには店の立地や規模を前提とした場合3つの視点があります。購入前、購入時、購入後です。この時間軸がもたらす価値は、商品の特性によって重要度が変わってきます。
● 高額の耐久消費財で機械グッズ(車、家電、パソコンなど)ならこの3つの要素は等しく重視されます。しかし、飲食や食品などでは購入時の購入プロセスが大事でしょう。
● 分子のお客様が負担する「費用」や「時間」は分母との対比で判断されます。私たちは日常の買物行動でその都度、この公式に基づいて意思決定をしています。その場合、分母の要素は複数の商品・サービスや店舗・通販などの選択肢で比較して選ばれています。(売り手からすると競争して選ばれる努力をするということです)
● 今回私が体験したできごとは2つありました。ひとつは久しぶりに映画館に行った時のことです。そこは同時に7つの映画を上映している全席指定制の劇場です。私のお目当ては「十三人の刺客」です。平日だったので上映15分前に行きました。
● 着いて驚いたのは長蛇の列です。「なんじゃこりゃ」と思いつつ、列の最後尾に並びました。5つの窓口で受付をしています。どの映画にどれだけ並んでいるかはわかりません。情報は電光表示です。「十三人の刺客」は△印です。まだ大丈夫と思い並んでいましたが、10分経過しても半分ぐらいしか進みません。
● 上映時間まで後5分、△印はそのまま。これでは間に合わないと判断し、途中で列から抜け出して帰りました。
● 映画別に並ばせれば良いのにと思いましたが、劇場はそのような設計になっていません。最初からそういう想定はしていなかったのでしょう。人気作品が重なると今後もこういう事態が続くでしょう。
● もうひとつは、ネットで久しぶりに教材を購入しました。アマゾンでは本やDVDを購入する習慣があります。楽天でも出張の飛行機と宿泊を予約する事があります。決して使い慣れてないということはありません。
● 今回購入しようとした教材はしばらく思案していましたが、9月30日で発売記念特価が終了するという案内で決断しました。(限定訴求にこころが動かされた事例です)
● 購入手続きに取り掛かったのですが、いきなり「会員になるような」仕掛けに出会いました。会員にならないで購入する案内がありません。仕方なく会員に入会する手続きをしましたが、結構情報収集が多いのです。アドレスやパスワードは2度打ちです。少し嫌気になりながらも、購入すると決めた商品が欲しくなり手続きを完了しました。
● パスワードも設定し会員としての購入手続きを行なったのですが、今度はアドレスもしくはパスワードが違っていますと表示されました。ここで一気に怒りが湧いてきました。普通はここで購入を止めます。しかし、その教材はかつてライブで受講をした講師の方のもので価値を認めています。また過去に一度教材も購入した事があります。
● そこで直接講師にメールを打ってクレームを付けました。ほどなく講師から携帯電話に連絡があり直接話をすることができました。流石に当方の言い分を聴き、お詫びと御礼を申されたので、会員にならないで購入する手続きを確認のうえ購入いたしました。
● 自前のソフトでないとのことでしたが、私と同じような経過で購入を諦める方も何人かおられたのではないかと思います。その旨を申し上げたところ、何らかの対策をとられるようです。
● この間に要した時間は1時間余りになりました。私のように世の中には面倒な事は嫌だという方々も多いと思います。購入プロセスはスムースに行って当たり前と思うのです。販売側は良い商品を揃え、その価値を伝えると共にお客様の購入プロセスにもっと関心を払うべきだと感じた次第です。
● ちなみに私の今後の対策は、映画館には1時間半前くらいに行って指定席を購入したあとに食事か買物をして、それから上映開始時間の間際に再度行くということです。
● ネットでの購入では、繰り返し購入する商品ではパスワードの必要な手続きはしますが、それ以外は拒否です。別に会員にならなくても自分が必要だと感じたものは自分のほうから探して購入するからです。
● その後も近所のコンビニで発売されているコミックを購入しようとしたとき、この巻は最新刊かどうかがわからず迷いました。欲しかったので店員さんに封を切って確認してくれと申し出ました。
● そういうことを言うお客は少ないのでしょうか、店員さんはあたふたとされていましたが、許可をとったり、リストを調べたり2人がかりで対応してくれました。
● 都心の本屋さんでは発売日のシールを貼ってくれているので間違わないのですが、コンビニでも同じようにやってくれれば売上はもっとあがると思いますね。
● さらに近くのスーパーでも朝一番に行くと商品はきちんと品揃え、陳列されているのですが、時々サッカー台にあるセロテープが切り口から離れていて使うのに苦労することがあります。私が懸命に切り口を探して引き出そうとしているのに、お店の方は誰も来られません。これもセルフサービスかと皮肉な見方をしています。
● このような買物における購入プロセスを快適にしていくのは小売・サービス業の役割です。そのためにはお客様の声を聴くしくみと店側の観察力、想像力が重要でしょうね。
● この提案を読まれた方はぜひ、商品そのものの価値を訴求するだけでなく、お客様の立場に立って自社の商品の購入プロセスについて見直していただければと思います。<完>
- 登録日時
- 2010/10/05(火) 17:10