【10月のトピックス】
ホームセンターのアミューズメントパーク化って?
● 本文に入る前に上の写真の解説。以前にも掲載していますが、今年の我が家の月下美人は猛暑のせいか7月には4つしか開花しなかったのです。ところが10月になって17の蕾がつきました。そのうち2つは育たず落ちてしまいましたが、残りの15個は今月上旬に毎日のように開花しています。儚い美、儚い恋という花言葉のこの美しい花は、我が家のベランダで心地よい花の香りを充満させながら一晩咲き誇り、日の出と共に萎んでいます。(10月7日撮影)
● 昼休みに「ひるおび」という番組を見ていたら、タイトルのような特集をやっていたので思わずメモを取りました。関東のジョイフル本田千葉店、カインズホーム伊勢崎店が取り上げられていました。
● 結論から言うとタイトルに近いことを行なっているのはジョイフルのようです。カインズは低価格のオリジナル商品を開発しているということがメインで、経営コンサルタントの方がホームセンター業界のユニクロ化という意味づけをされていました。
● ジョイフル本田千葉店は、数年前に私も一度訪れたことがあります。とても大きかった記憶があります。紹介では東京ドーム4個分の面積だそうです。駐車場は5,000台、年商200億円超とのことです。
● 特長は①品揃えが22万アイテム、ガーデニングは1万種類、自分で建てるミニハウスが6畳で118,000円にて販売【商品と品揃え】 ②日本一の販売量がいっぱいあるとのこと。しかし紹介は傘、紙おむつ、包丁だけでした。【品揃え】
● 最も興味深かったのが③何でも試せるということでした。例えば耕運機の試運転ができるのを紹介していました。他にも包丁、綿棒、ティッシュというものまで試せるとのこと。【購入プロセス】
● 筆者が日頃から指摘する、置いてあるだけ、並べてあるだけの陳列から、いろいろな使い方などの提案があって、そしてそれを試して購入できる店へ進化してもらいたいということの事例として共感を覚えました。
● このような試みは売り手側に負担が発生するというリスクがあります。実演機の処理です。最終的には概ねメーカー負担で値引き販売をするとか、経費で処理をされるのでしょう。(推測です)
● ですからなかなかマネが出来ないと思われます。また実演には販売側のアシストも必要でしょうから人手がかかります。これもマネをするには障害となる要因ではないでしょうか。だから置いてある、並べてあるということが多くなるのでしょう。
● ですからこのように試せる、実演ができる店というのは魅力的です。陳列の表現方法に、その強度という視点からI=インフォメーション、P=プレゼンテーション、D=デモンストレーションという方法を紹介しています。試せる、実演ができるとは一番到達する強度の強いデモンストレーションに当たります。
● 読者の皆様も購入側の立場に立ったとき、効果的なデモンストレーションは購入意欲が最も高まる、というご経験があるのではないでしょうか?
● 売場におけるI・P・Dの陳列方法の構成比がどのようになっているかは小売・サービス業にとって情報発信のチェックポイントになります。ホームセンターのみならずいろんな業種・業態を見るときの視点にしてみてください。
● ④ピッタリが見つかる ― カーテン売場は1種類当り57のサイズを品揃えしているとのこと、これは助かりますね。事前に必要な寸法を調べていけば一度の買物行動で用件が済ませられます。【品揃え】
● ⑤常識破りのオリジナル発想 ― 入浴剤が取り上げられていました。入浴剤は種類ごとに同じものがいくつか入ったものがメーカーからは提供されます。それをジョイフルでは箱をばらして、違う種類のものを組み合わせてパック販売するという工夫です。【購入プロセスの改善による商品開発】
● これはお客様のいろんな種類のものを楽しみたいというニーズに応えたものでしょう。私なんかもコーヒーはKEYコーヒーのバラエティパックを愛用しているのでその気持ちがよくわかります。
● 番組はジョイフルのアミューズメント化への取り組みの紹介をすることがねらいなのか、カインズのオリジナル商品による低価格販売をもアミューズメントの領域に入れて紹介されたのかは明確ではありません。
● 私の目からはジョイフルがその名前から連想される店の考え方を実現する手段として、広大な売場をアミューズメント化しようとしているように思えました。
● カインズのパンクしにくい自転車、割れ難い食器、ご飯がくっつきにくい茶碗、低価格のシステムキッチンなど商品開発による楽しさの実現、教室の開催と素材の販売(ユザワヤなどでもお馴染みの方法)など購入プロセスの開発でお客様の満足度をあげようとされているのでしょう。
● 今回のトピックスは今月の提案でご紹介しましたCSの公式にも当てはめています。また情報発信(陳列も含む)についてI・P・Dという方法についても述べています。テレビを見るときも、雑誌を見るときも、実際のお店を訪れるときも私のようなメガネで見るのも楽しいですよ。ご自分の仕事に活かせるヒントが見つかるのではないでしょうか?
● ぜひお試し下さい。しかし、もっと大事なのは自分に合うメガネを見つけることでしょう。そういうのも楽しいですよ。<完>
- 登録日時
- 2010/10/09(土) 15:15